時代を反映したアニメ作品でしょう!
強烈な主人公
真面目な捉え方をすれば、現代社会の風刺といえるアニメ作品だと思います。この作品の主人公は、ニートで童貞である、という設定が現代社会の一部を切り抜いたものと考えることができます。また、実家暮らしをしており、生活することに困らない、という点も同じ境遇が当てはまる方も多いように思います。
ギャグアニメで笑わせることを前提としたアニメ作品ではありますが、素直に笑っていいのか、悩んでしまう面もあるように思います。特に、笑わせるネタとして描かれていることが、現実に起こっていそうで恐怖を感じさせます。主人公のオサムは、実年齢と精神年齢が伴っていないです。よって、行動そのものが幼いことが多いことが、お笑いネタとして描かれています。現実社会での犯罪者においても、面白おかしいオサムの人物像が当てはまってしまうことが多い気がしてしまうのです。
一般的には面白おかしく映る行動が、当の本人たちからすれば、普通の行動なのかもしれません。そういう見方をすれば、お笑いアニメであっても侮れない気がします。主人公、オサムの行動や発言は背面教師として、実は勉強になるのかもしれません。
また強烈な主人公、オサムを形成する要素として大きいのが、母親であるミツコの存在だと考えられます。オサムを突き放すどころか、受け入れてしまっているのが恐ろしい部分に思います。現実に存在する家庭においても、同じ状況なのだと考えられます。間違った価値観に、間違った愛情が、この「フジログ」というアニメ作品の面白い部分なのでしょう。しかし、現実に起こっていることがそのままのような気がして笑ってしまいますが、素直に笑ってよいのか、悩んでしまうことが多いです。
主人公のオサム、母親のミツコは現実に存在しそうな人物像で怖いです。また作品を観終えてから、この家族の未来を想像すると、さらに怖いものがあります。オサムは犯罪者一直線なのだろうか、それとも、自立して生きることができずに死んでしまうのか、そんな未来しか想像できないです。
センキチの存在
オサム、ミツコの存在がリアルなだけに、センキチの存在は大きいです。センキチの放つ笑いは、素直に笑うことができます。話すことができず、筆談するキャラクターという設定が、現実感がなくて良いと思います。一見、話すことができなく筆談というコミュニケーションしか取れない可哀想なキャラクターと捉えることができます。しかし、話すことができない障害を抱えているのであれば、手話という方向にいくと思うのです。また、ジェスチャーという方向もあります。しかし、筆談という方向を選んでいることに現実感がありません。そして、その部分がセンキチを面白いキャラクターに仕上げているように感じます。また、センキチを可哀相に思うより先に、強力な毒舌は面白いです。
そういった部分を、全力でオサムとミツコに向ければ、まともな家庭環境になりそうな気がしてしまいます。
出演している有名人
アニメ作品として、数々の芸能人がそのままの人物像で出演していることが、「フジログ」の特徴といえる部分なのではないでしょうか。元プロレスラー北斗晶さんに、お笑い芸人では、土田晃之さん、キングオブコメディのお二人、そして、元スポーツ選手からミュージシャンまで、登場しています。どうやら、登場している有名人には、埼玉県出身という共通点があるそうです。
そして、埼玉県の商店街や企業が制作に協力しているそうで、地元を売り出そうというアニメ作品らしからぬ意図が随所に感じられます。これは近隣に住んでいる方にしてみれば、嬉しい材料なのではないでしょうか。こういった要素が加わることで、これから登場するアニメ作品にも新しい風が呼び込める可能性を示唆しています。こういったかたちで制作協力を仰げば、参加する企業や団体は多いと思うのです。そうすることで、製作費を捻出することができ、作品そのものの魅力を大きくすることができます。アニメ制作側、そして、協力する側のどちらにもメリットがあり、Win-Winなのではないでしょうか。こういった考え方や取り組みが定着したら、アニメ業界をもっと盛り上げられるように思います。
もっとも面白く思った有名人は、土田晃之さんです。しかも、一度きりではなく、数回に渡って登場したことに驚かされました。しかし、土田さんが登場する度、フジヤマ家に振り回されている感じが、クレーマー対応の勉強をさせてもらった気がします。基本的には対立構図となり、発言や行動で戦っている姿が面白かったです。煽られることに対して、執拗なことに対して、土田晃之さん自身がブレずに対応している姿は、サービス業におけるクレーム対応の勉強にもなります。
しかし、バラエティー番組で観る土田晃之さんより、アニメ作品での土田晃之さんは弱かった印象があります。バラエティー番組では、好き放題に発言している印象がありますけど、アニメは台詞が決まっているので仕方ないのでしょうか。せっかく、本人が声優までしているのであれば、脚本作りの段階から関わってほしかったように思います。
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