高いクオリティーのアニメ作品 - 機動警察パトレイバーの感想

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高いクオリティーのアニメ作品

4.04.0
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

作品の世界観の中での高い整合性

まずは、この作品における発案と着眼点は素晴らしいです。犯罪が大型化、ロボット化してくるという発想は、当時は妙なリアリティーがありました。ロボットの技術革新が目覚ましい背景だったので、重機のような感覚でロボットが犯罪に使われることがあるのではないか、という着眼点が良かったと思うのです。

秀逸なメカデザイン

犯罪を取り締まる為に、警察にも警察官が操縦するロボットが導入される、という設定も必然のように感じます。パトカーを意識したメカデザインも秀逸で、カッコ良さが際立ちますね。一見すると、機動戦士ガンダムにでてくるモビルスーツ「ジム」を彷彿をさせるサングラス顔ではありますが、シュッと逆三角形の顔にすることで、戦隊ヒーローのようなイメージを持つことができます。ウイグマンの顔にも似ていますね。色んなデザインの良いところを取り入れており、革新的なイメージというより、カッコ良さを集計的に算出されたもののようにと思います。

ロボットものアニメにおいて、活躍する主人公ロボットがカッコ良いことはヒット要素で欠かせない要素ですものね。

オープニング曲に恵まれた作品

「そのままの君でいて」「コンディション・グリーン 〜緊急発進〜」「MIDNIGHT BLUE」など良い楽曲に本当に恵まれた作品だと思います。アニメ作品の為に、制作された楽曲ではないと思うのです。むしろアニメのイメージに合わせて、選曲された感じを非常に受けます。

アニメアニメしたアニメソングという感じがしないことも、この作品において好印象のように思えるのです。視聴者として、ターゲットにした年齢層が小学生より高かったのでしょうね。それがしっかり伺えますし、ターゲットと作品そのもののイメージ、そして曲風など、色んな要素が高いレベルで合致しているように思います。

具体例は挙げませんが、アニメ作品でひどいオープニング曲って、けっこう存在しますよね。これだけの楽曲に恵まれていることが、逆に凄いことのように思います。この差って、いったいなんなんでしょうね。作曲される方のセンス、選曲される方のセンスによるものなんでしょうか。

警察という組織に縛られる制限

警察組織という問題ではなく、アニメや原作漫画の制作上のアイデア・発案の上でも制限されることでの苦悩はあったのではないでしょうか。ロボットもの作品におけるカッコ良さで、重要な要素といえるのがロボットそのものの武装といえます。しかし、警察という組織に所属しているという設定であるがゆえに、威力の高そうな武装や、近代兵器、近未来的な兵器、武装が装備できなかったことが難しかったのではないでしょうか。

威力の高いミサイルや、ビーム兵器など装備していたら、警察というより軍隊や自衛隊の色が強くなってしまいます。事実、パトレイバーの基本武装といえるば、警棒と拳銃の二つだけですよね。武装というロボットものには欠かせない要素が、警察所属という観点で、整合性の欠くものになってしまうジレンマはあったでしょうね。

この「パトレイバー」という作品が描いたたもの

主に人間ドラマに主眼をおいて作られた作品にように思います。とくに現代社会においての人間ドラマという点は、ロボットもの作品において珍しいものだと思えます。ロボットものであるがゆえに、空想の色、ファンタジー色が強くなってしまうものではないでしょうか。

たとえば機動戦士ガンダムは、宇宙での戦争を描いており、それ自体は魅力あふれる作品ですが、親近感があり、リアリティーを感じることは難しいと思います。またゲッターロボやマジンガ―Z、コンバトラーVなどの作品も、敵対しているものが宇宙人だったり、地底人であったりとリアリティーとは程遠いものが選ばれがちです。

しかし、警察という組織を選ぶことで、本当に近未来で同じようなことが起こるかもしれない、という現実に成る得る可能性がグッと増すような気がするのです。

その中で、描かれていたのはヒューマンドラマで、主人公が成長していく青春ドラマであったり、指揮官がパイロットを教育していく上での苦悩のように思います。戦争を描いたものでもないし、宇宙からやってきた侵略者とたたかう図式ではありません。同じヒーローものという括りであっても、ギャバンや仮面ライダーなどの空想科学ヒーローと、比較的に現実社会に近い世界観であるシティーハンターなどでは、全然違うジャンルのもののように感じるのです。

また警察組織というものを通して、現代社会における会社や職場における上司や部下・同僚といった人間関係や、組織の在り方の風刺であったり、産業会社の在り方、現実社会でも起きり得る利権のやりとりなどが描かれていると思います。

どちらかといえば、嫌いな作品!

この原作者、制作スタッフはこのアニメ作品を通して、どんなメッセージを込めていたのでしょうか。私自身は、このアニメ作品から、その部分が読めてこないんですね。色んなことに手を出し、設定などにこだわったことは理解できます。非常に作り込まれたアニメ作品で、クオリティーも高いと思います。

しかし胸を打つ感動といったものがないことが、残念な点なのです。

ひょっとしたら、私が分からないだけで、制作側のメッセージはあるのかもしれません。私自身、受け取り方に問題があることは拭えません。しかし、どうしても好きにはなれないアニメ作品です。

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4.54.5
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