妖怪アパートの優雅な日常
現実と隣り合わせの非現実。日常の中に潜む非日常、とでも申しましょうか?
中学一年生の春、両親を一度に亡くしてしまった主人公、稲葉夕士の成長を描いた物語。というと、なんとも平凡に聞こえてしまいますが、両親を亡くしてからお世話になっていた伯父夫婦。
悪い人ではないけれど、大変な負担を二人にかけていると感じ、遠慮のある伯父の家を出るべく、寮のある条東商業高校にみごと合格した夕士でした。
ところが、その寮が火事で全焼してしまう。 やっと伯父の家を出られると思っていた矢先のことだったので目の前が真っ暗になってしまう。 寮が新しく建て直るのにたった半年を待てずに探し出したのが古い洋風建築の二階建てアパート『寿荘』。
そして、夕士が入居したアパートは通称『妖怪アパート』と呼ばれ、そこは物の怪たちの巣窟だったのです。 とてつもなく美味しいご飯を作ってくれるのは、手首だけの賄さん。夕士の常識という常識、知識という知識は見事に砕け散る。 夕士を取り巻くアパートの住人(人?物の怪?)達のやさしさ、温かさ、時には厳しさをを教わりながら、心も体も成長していく夕士。人と物の怪とが共存し、大人になって忘れかけていた気持ちを思い出させてくれる、切なくも可笑しい一冊です。(全10巻)
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