妖怪アパートの幽雅な日常の感想一覧
香月 日輪による小説「妖怪アパートの幽雅な日常」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
青春時代のバイブル
中二病さんにぴったりです。私がこの妖怪アパートの幽雅な日常を読了したのは、中学生の時、およそ5~6年前である。これを読んでいる方々には中二病という言葉があることはご存じだろうか。私は中学時代、まさにその中二病そのものだった。社会に対し自分の考える正義を貫こうとあがき、もがく…もっと簡単に言えば、面倒な痛い子供だ。そんな私にピッタリな作品だったと思う。まず、主人公の夕士という少年のキャラクター。とてもいい設定だ。両親を早くに亡くし、親戚の家に世話になっていたが、一刻も早く自立するため、寮付きの高校へ進学。しかしその寮も火事となり、アパートを探していたところ寿荘を見つけるがそこはいわくつきの物件だった。今考えてみると、とんでもなく波乱万丈な、というより不幸に見舞われすぎな少年である。だが主人公が何もかも恵まれていてただ敵とみなすものを倒していくだけでは中二病の心はくすぐられない。この不幸さ...この感想を読む
妖怪アパートの優雅な日常
現実と隣り合わせの非現実。日常の中に潜む非日常、とでも申しましょうか?中学一年生の春、両親を一度に亡くしてしまった主人公、稲葉夕士の成長を描いた物語。というと、なんとも平凡に聞こえてしまいますが、両親を亡くしてからお世話になっていた伯父夫婦。悪い人ではないけれど、大変な負担を二人にかけていると感じ、遠慮のある伯父の家を出るべく、寮のある条東商業高校にみごと合格した夕士でした。 ところが、その寮が火事で全焼してしまう。 やっと伯父の家を出られると思っていた矢先のことだったので目の前が真っ暗になってしまう。寮が新しく建て直るのにたった半年を待てずに探し出したのが古い洋風建築の二階建てアパート『寿荘』。 そして、夕士が入居したアパートは通称『妖怪アパート』と呼ばれ、そこは物の怪たちの巣窟だったのです。とてつもなく美味しいご飯を作ってくれるのは、手首だけの賄さん。夕士の常識という常識、知識という知...この感想を読む
子供はもちろん、大人も楽しめる児童書
友人からのお勧めで、読み始めた一冊です。子供向けの児童書なんだけれど侮れない!!自分好みのファンタジックな世界が広がる本に出会えました。主人公、夕士は中学生の時に両親を突然失ってしまいます。親戚の家での暮らしに居場所がなく、寮がある高校を受験して合格しました。しかし引越しの前に学校の寮が火事に。そして・・途方に暮れていた主人公と不思議なアパートの出会い。先輩住人の妖怪達と過ごす中で夕士の尖った心がまあるくなり、ほぐれていきます。ストーリーも面白いですが、とにかく登場人物が魅力的。.怖いものは苦手だけれど、このアパートの住人達には会ってみたい。
夕士は取りつかれた教師を救えるのか?
1巻・2巻とは少し異なり今回は学校が主な舞台で、前作までとは少し違う感じがしました。キャラクター達は大好きなのですが少し慣れてしまったからか舞台が学校だからなのか、前作ほどは入り込めなかった気がします。今回、心の闇にとりつかれてしまった教師の起こすトラブルに夕士や友達が巻き込まれ、彼を救おうとする物語。結果的に、魔物は払うことができたけれど元々の性格に問題があったため、またトラブルを起こし救えず・・・となってしまいます。除霊できたから善人になるかといえばそうじゃないのが当然といえば、そうなのですがちょっと暗さと重さを感じてしまいました。でも相変わらず、るりこさんの料理がおいしそうで・・・これがあるから夕士は体力的にも精神的にも健康なんだなって思いました。