マイケル・J・フォックスの良さが凝縮しているノリの良い作品
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日本人でも笑えるコメディタッチの恋愛映画
人の笑うポイントとは、国によって違ってくる場合があります。ですから、アメリカやフランスのコメディ映画を見てもあまり面白くないと思う事があるのですが、「摩天楼はバラ色に」は、笑える箇所がたくさん存在します。わざとらしく、笑いを誘っている場面もあるのですが、映画の出演者達のなんとも言えない必死さが、画面を通して伝わってきて、思わず笑ってしまうのです。また、ストーリーとして、会社内の話がしっかりと筋が通っており、学力による格差、ホワイトカラーとの差別などの問題も絡めてあるので、全く飽きることなく観ることができます。そして、気がつけば、誰もが主人公のブラントリーを応援しているのではないでしょうか?
恋愛映画としては、物足りない感じもしますが、コメディとしては面白く、会社の中身を覗きみできる作品です。また、物語のラストも、ヴェラの夫をギャフンと言わせる展開になっているので、爽快な気分で見終わる事ができました。
マイケル・J・フォックスが魅力的
この作品で、やはり欠かせないのがマイケル・J・フォックスです。彼は一般の人よりも、背が低く俳優に不向きだと思われますが、彼が存在するだけで、映画の中に花が添えられたような存在感を見せつけてくれます。特に、シリアスな作品よりも、摩天楼はバラ色にのような、コメディタッチの役所は、ピッタリのはまり役といっていいでしょう。
ただし、誰もが知っている「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは、この作品の3年前。この頃の彼は、有名になり様々な映画に主演し始めますが、この頃からワンパターンな役どころが、少し飽きたようにも感じられました。彼の俳優の幅をもっとみたかったのですが、この後、病気となり、映画の世界では見られなくなってしまったのが残念でなりません。
叔母さん役のヴェラが個性を発揮
この映画の中で、一番好きな場面として印象が残るのは、運転手として主人公のブラントリーが、叔母さん役のヴェラを自宅まで送り届ける場面です。彼のリップサービスによって、やる気満々になって来る彼女の仕草や行動は、抜群です。台詞なんかよりも、彼女が香水をつけたり、口紅をべったりと塗る方が、何倍もの表現力になるようですね。
獲物は、おどおどしているマイケル・J・フォックス、襲いかかるのは、熟女の社長夫人。後に、ヴェラが自分の叔母さんである事に気が付き、おののく彼と対象に、デーンと構えているヴェラの態度が、ますます作品を面白くしています。やっぱり映画で登場する人物は、変わった人物であればあるほど、魅力的に感じるみたいです。社長の妻なのに、人を見下したりしない、えばったりしない。自分の心に忠実なヴェラが、私は大好きでした。
相手役の女優に全然魅力を感じない
マイケル・J・フォックスや、社長夫人のヴェラがとっても好演しているのに反して、マイケル・J・フォックスが惚れる相手役のクリスティが、あまりにも役にあっていません。存在感もなく、女優としての演技にも欠け、この話の中心人物としては、全くの役不足と思います。彼女に惚れるという部分は、作品の中心となるところなので、ここが不十分だと、何か欠けてしまうような気がします。
確かに、彼女自身に魅力がなく演技も下手なのも要因ですが、脚本の描き方としてもいまいちです。特に、水飲み場のシーンで、主人公は彼女に惚れてしまうのですが、水を飲んでいるだけで、好きになってしまうなんてことはあるのでしょうか?しかも、それほど飲むシーンも、美しいとは感じません。彼女が出ているシーンは、退屈で見ているこっちがなんだか恥ずかしくなってしまうような演技、好きではありませんでした。
背の差が気になってしまう
映画の作品として、気にしなくても良い部分かも知れませんが、マイケル・J・フォックスの背の低さが気になってしまいました。好きになった女性、クリスティと並ぶと明らかに、背が低いと思われるのです。確かに、男性の背が低いという場合は、ある事なのですが、背が低いと同時に、クリスティと並ぶと、彼女がとりわけ大きく見え、2人の間に愛情があるとは思えません。
もしかしたら、クリスティとブランドリー、2人の演技が上手く回っていなかったのかも?と思いました。キスシーンも、抱き合うシーンも、うっとりするような気分ではなくて、見ていてぎこちないのが先に目についてしまいます。
曲が映画のシュチュエーションにピッタリ
作品の中で使われている曲が、そのシーンにピッタリとマッチしています。一番良かったのは、私の好きな運転手となったブランドリーがヴィラを送り届ける場面。それだけでも、とっても面白いシーンなのですが、この曲があるお陰で、さらにシーンが盛り上がります。これほどまでに、曲がその場を盛り上げるシーンは、初めてでした。
楽しい作品でしたが、恋愛映画であるのに、ブランドリーとクリスティの恋愛が、薄っぺらい所が残念な作品でした。
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