男のアニメ - スクライドの感想

男と男、意地と意地のぶつかり合い、熱い戦いのストーリー

まず、スクライドの良いところは男臭い戦いをメインにしたストーリーにあるといえる。

アウトローであるカズマ、エリートである劉鳳の対局な二人がダブルヒーローであるところは昨今のアニメにもよくありがちかと思われるがその二人の性格がぶっ飛んでいる。はっきり言って終盤には２人とも狂人の域に達するぐらいヒートアップする二人の対決がこのアニメの醍醐味ではないだろうか。基本その二人の関係を軸に戦闘ものでストーリーは進むのだが物語の主な要素であるアルター能力がその男くささを更に際立てるのである。何故ならアルターは個人の性格が如実に反映されるものだからである。そのため「強いアルター」＝「本人の意思の強さ」となり、強いキャラクターほど強い矜持を持っていたりはたまたぶっ飛んだ性格になっていたりするのである。その設定故戦闘ではキャラ同士の意地と意地のぶつかり合いになることが多く、そこが男臭さとなって際立つのである。設定のおかげでかなりそれぞれのキャラが立っていたところもこのアニメの面白さだといえるのではないだろうか。また、普通に剣と魔法のファンタジーなら主人公が仲間と共に切磋琢磨し、愛や友情を武器に巨悪と立ち向かうものだろうがこのアニメの主役二人は違う。二人の主人公はお互いが気に入らないから潰す、ほぼそれだけである。なんやかんや理由をつけて嫌いあっているが二人の戦う理由はそんなものである。個人的にはそういった所が男の子らしいというか熱くなれる部分でもあり、多少恋愛ものの話も入ってきそうになるが７割５分は男同志の友情や意地と意地のぶつかり合いといった成分になっているので熱いアニメが好きな人は間違いなくハマるだろう。

個性的なキャラクターから出る名言の数々

先にも言った通りこのアニメに登場するキャラクターは総じてアクが強い。それぞれの個性が強さに繋がっているのでその言動もまたインパクトがある。例えば主人公カズマの兄貴分であるクーガーなどは本人が速さを重要視するためそのセリフもかなり早足で長ったらしいものである。彼のインパクトがありすぎて真似して叫んでしまう友達も多かったぐらいだ。余談だがドラマＣＤの彼の話の数々は必聴の価値はあると個人的に思うのでまだ知らない方は是非聞いてみてほしい。またニャンチュウでおなじみの津久井教生さんが久々の人間役という点でもこのアニメを見る価値はあるのではないだろうか。話が逸れてしまったがキャラクターの個性がそのまま台詞ににじみ出ているので「意地があんだろ！男の子にはぁぁああ！！」といった叫びなど、直情的なカズマのだからこそ見ているこちらにもストレートに響く台詞になっているのだろう。恐らくこういった感想は私の個人的な意見になるのだろうが、それぞれのキャラクターが分かりやすく熱いセリフも多い所もこのアニメの魅力ではないのだろうか。また各キャラクターにそれぞれ見せ場はあり、「僕の玉は～！」など社長（某動画サイトでの橘の愛称）のネタに近いものなど印象深いセリフも多い所もこのアニメを楽しめる一つの要素であるだろう。もちろん名言とは違うがバトルアニメお約束の必殺技を叫ぶシーンも多く、そういった所がこのアニメの男の子心をぐっと掴んだポイントなんだろう。

さて、あなたの好きなキャラクターの好きな台詞はなんだろうか。思い出しているうちに、きっとまたこのアニメを見返したくなっているはずだ。

演出、当時では斬新な工夫

熱いアニメに欠かせないもの、それは熱い主題歌である。ご多分に漏れず、このスクライドも熱い主題歌「Reckless fire」に合わせて熱いＯＰが流れるのだがそのＯＰがまた面白い。今ではありきたりになってしまったかもしれないが毎回ＯＰが違うのだ。これは当時まだ青年くらいだった私には衝撃だった。主人公の状態や、その回に合わせた内容のＯＰが流れるので毎回新鮮な気持ちでＯＰを見ることができるのである。そのため今回はどんなＯＰになっているのかと気になってしまい最初っから目が離せないのである。また劇中に流れる挿入歌もほぼ酒井ミキオ氏が歌っているため熱さ倍増、盛り上がりまくるのだ。熱いストーリに熱い展開にさらに熱い男の歌声と男の子心くすぐる要素が至る所に散りばめられているのもこのアニメの魅力の一つなのだろう。また、カズマの必殺技のシーン（特にシェルブリット）は明らかに使い回しのはずなのになぜか毎回かっこいいのだ。ほぼモーションは同じで違うのは背景と向き（主に上からか下からかの違いだが…）なのだが前後のシュチエーションが違うだけでこうもワクワクさせることができるのかと感心するぐらいである。お決まりのパターンで敵を粉砕するといったヒーローものの定番シュチエーションも毎回飽きさせず見せてくれた演出の数々、工夫は今のアニメにも受け継がれているのではないだろうか。まぁこのアニメがすべて最初に始めたわけではないだろうが、そういったことも如実に感じさせてくれるアニメであることに間違いはないだろう。

総評「熱い」

良くも悪くもこの一言につくのではないのだろうか。

もし、自分の中にくすぶっている何かがあるのならこのアニメを見て燃え上がらせればいい。

このアニメは間違いなくそんな気にさせてくれる、大変いい作品だと思う。

最後は簡潔で素っ気のない個人的な感想だが、そう締めたいと思う。