暗いリアリティー
前から気になっていたカズオ・イシグロ。この度、ドラマ化されたこともありネットで取り寄せ読んでみることにしました。ちなみにドラマは一切見ていません。
感想は、暗い!それに尽きます。
終始、主人公の一人称ですすめられる物語ですが、設定が設定だけに救いは一切ありません。どうしてこんなにタフでいられるのか分からないけれど、淡々としている主人公。だからこそ、主人公たちが置かれている状況の過酷さが際立っています。
主人公キャシーと親友ルースのやり取りは秀逸!まさか男性が描いたなんて思えません。登場人物の中では比較的、わがままに描かれているルースですが、私は好きでした。
臓器提供を題材にした作品の中では、 SFと分類される本作ですが、ファンタジーだからこそのリアリティーが確かにあります。
私自身に臓器提供が必要になったとき、提供を拒むことができるでしょうか?
私の大切な人に臓器提供が必要になった時に、提供と言う手段を取らずにいられるでしょうか?
読者は皆、そう考えずにはいられないでしょう。
長編ですが、最後まで読者を引きつけ続ける構成力はさすが!
消して読了感の良い作品とは言えませんが、早速2回目を読もうと思っています。個人的にはここまで暗い話をどのようにドラマにしたのかも気になります。DVDが出たら見てみよう。
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