生きることの意味 - わたしを離さないでの感想

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わたしを離さないで

4.004.00
文章力
4.50
ストーリー
4.50
キャラクター
3.50
設定
3.75
演出
3.75
感想数
2
読んだ人
9

生きることの意味

4.54.5
文章力
4.0
ストーリー
4.5
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

時代や国、も不明、そして臓器提供のためだけに生まれてきたという主人公たちの設定が、一見突拍子もなく思えますが、最後まで読むと作者の強いメッセージ性を感じることができる1冊でした。

将来の臓器提供を想定し、体を健康に保ち続けることが大切とされてきた、まるで家畜のような主人公たち。好きな仕事につくこともできず、子供を持つことも不可能とされ、彼ら自身が強く感じる場面はないものの、読む側としては彼らの生きる意味は何なのかと考えさせられます。そしてこのことは、現代を生きる私たちにも突きつけられている問題のように感じます。ただ職場と家との間を往復し、結婚や出産もままならず、何となく毎日が過ぎてゆく…果たしてそこに生きる意味はあるのだろうか、と。

しかし作者は最後に彼らに生きる意味を与えます。それは人を愛することです。結局は失敗に終わりますが、提供の猶予の条件とされるのは真のカップルであることでした。つまり生きること=誰かを愛することなのです。さらにラストで明かされる、彼らの教師たちの深い思いやり、これは親からの無条件の愛情を意味します。誰しも生きる上で、親からの愛情を受け、そして誰かと出会い、愛するようになる、そこに人の生きる意味があるのだと作者は伝えたかったのではないでしょうか。

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他のレビュアーの感想・評価

暗いリアリティー

前から気になっていたカズオ・イシグロ。この度、ドラマ化されたこともありネットで取り寄せ読んでみることにしました。ちなみにドラマは一切見ていません。感想は、暗い!それに尽きます。終始、主人公の一人称ですすめられる物語ですが、設定が設定だけに救いは一切ありません。どうしてこんなにタフでいられるのか分からないけれど、淡々としている主人公。だからこそ、主人公たちが置かれている状況の過酷さが際立っています。主人公キャシーと親友ルースのやり取りは秀逸!まさか男性が描いたなんて思えません。登場人物の中では比較的、わがままに描かれているルースですが、私は好きでした。臓器提供を題材にした作品の中では、 SFと分類される本作ですが、ファンタジーだからこそのリアリティーが確かにあります。私自身に臓器提供が必要になったとき、提供を拒むことができるでしょうか?私の大切な人に臓器提供が必要になった時に、提供と言う手段...この感想を読む

3.53.5
  • ようこぴようこぴ
  • 124view
  • 549文字

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