メッセージが隠されたモダンホラー
モダンホラーとSFのクロスオーバーミステリーや謎解きを求めると、退屈してしまうかもいしれない。ただ、霊との関わりによって進むモダンホラーと、霊とは異なる見えない恐怖、人が無秩序から科学的に産み出した生命というSFをクロスオーバーさせたエンターテイメントであり、その中にディーン・クーンツのメッセージが隠されている。無意識的な知的な強迫神経症と、虚栄的な自己の秩序の元に無秩序を産み出してはいないか、という問いかけを感じる。狂った科学者だけでなく、様々な家庭や社会で起こりうることではないか、と。無力さを知るが故の優しさと言葉霊が見えるオッドの体験として綴られているこの物語は、シエラネヴァダ山脈にある修道院で始まる。修道士としてではなく、ゲストとしてそこでオッドは暮らしている。同じゲストとしてそこに泊まっているロマーノヴィチはインディアナポリスで司書をやっているというが、いうも恐い眼で人を睨むロシ...この感想を読む
3.53.5
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