真剣な、遊びの酔いが醒めるまで
題名や珍しい著書名にどきりとして購入したのですが、中身はとてもポップな 青春小説です。 一生懸命な僕と、年上のユリとの恋模様。 ゆるゆるとした空間と会話の中で、幼女と狡猾な大人の女性をいったりきたり するユリと、少年と老人をいったりきたりする、まっすぐで穏やかな主人公のやりとり が、『若者らしさ』そのものを表しています。 激しそうで、激しくない。適当そうでまっすぐ真剣。 激しさと、愛情と、その結末(果てと醒め)が分かっている『セックス』という一連の 流れに添ったような、小説の流れの中で、 まだその熱の中にいたいと感じる、主人公の若さと純粋さと真摯さに、 いつかの自分を思い出しました。 「遊び=真剣」と、とらなくなったのはいつからなのでしょう。 こどもの頃は、本当に真剣に遊んだのに。 日が暮れても、トイレに行きたくても、お腹がすいても、 母親が心配で探しにきてくれるまで。 私達は、かつて、遊びということばを適当に使っていたことはなかったはずなのに。
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