暗い雰囲気、でも心が温まる不思議な映画
2004年 日本映画だが、全編韓国語という挑戦的な試みをした作品。
当時、チョナンカンとしてブームになった草彅剛主演。
テーマソングはラブサイケデリコ。この映画の物憂げな雰囲気を一層強くし、強烈なインパクトを与えたといえる。
年老いたオカマの男が経営するホテル・ビーナス。ワケありげな人々が集まるこの場所で、ある男が小さい娘を連れてきたことをきっかけに、人々の交流が始まるが……。
この映画の特徴は不健康なほどに気怠く、物憂げな雰囲気だ。どこまでも暗く、一筋の光もささないのでは、と思わせるほど、重たい空気が流れている。しかしおもしろいことに、それでいて観ているものを重たい気持ちにさせないのだ。むしろ心地いい空間を作り上げているといえる。不思議な魔力がある映画だ。
主人公チョナンと少女サイのさりげないップダンスシーンがいい。お互いの足の音で会話をしているのだ。初めて心が通じ合ったシーンといえ、心が和む。
セリフに頼らない心の交流が描かれているのが、この映画の最大の魅力だ。映像の美しさ、役者の表情、それだけで物語がある。
全体を通して暗いともいえるのだが、人のやさしさ、弱さに焦点をあてていることもあり、見終わった後に心温まる不思議な映画である。
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