絵になる映像
全編韓国語ということで、その時点で敬遠する人もいるかもしれませんが、大丈夫なら是非観てみてほしい作品です。 草彅君はともかく、他の日本人キャストには馴染みのない言語ながら、それで感情的にもなり慈しみもして、といった演技を十二分に仕上げています。素直に凄いと思う。 映像としての色遣いを見ても、いつまでも眺めていたくなる、一瞬一瞬が絵のような作品になっています。 人がそれぞれ持つ事情は、他人には知りきることなんて到底できないけれど、多少寄り添うことならできる。 小さな何か、物や役割を与え合うこともできる。 ホテルビーナスは下宿みたいなもので、住人それぞれここだけで使ってるニックネームめいたものを持ちつつ、つかず離れずの間柄。 でも、そこに新しく来た親子のように、誰も最初からそうだったわけじゃないんだろうなと思う。 ホテルビーナスという帰る場所を得た住人は、巣立つ場所を得たということでもあるんだと思います。 穏やかなばかりではない展開の作品ですが、監督の持ち味の音と映像の組み方と、ラブサイケデリコの音楽の物語性や切れ味が最強に合って、他の挿入歌・デスペラードなども盛り立てて、力強くも繊細な作品になっています。
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