何度も読み返してしまう
まず、作品全体に漂う爽やかな空気の虜になってしまう。少女漫画らしいファンタジックな設定なのだが甘すぎず、絵柄も軽いタッチで描かれているのでとても読みやすい。思春期の少年少女の持つ独特な清潔感や繊細な心の動きの描写が作者の絵柄と見事にマッチしており、何の抵抗もなく受け入れられる。
作中何度も登場する"イオン"の音が、読者である自分は音として捉えているわけではないのになぜかいい響きで耳に残る。それと一緒に気持ちのいい風のイメージを思い出す。読んでいて心地よいのはもちろん読後感もとてもスッキリしている。長編にはない話のテンポの良さも魅力的。
子供の頃に読んで何となく気持ちのいいまんがだなと思ってはいたが、大人になって更に好きになってしまった。
どれだけ頑張っても過ぎた学生時代には戻れないから、なおさら懐かしいような憧れるようなそんな気持ちで読んでしまう。
思い出は美化されるものだが、学生時代の自由さだとか軽やかさだとかを思い出して重ねてしまう。そして、これを読んでいる間は少女まんがに憧れた小さな時の自分の心に戻るような気になる。戻りたいとは思わないが思い出していい気持ちになれる思い出の一冊になっているのだなとしみじみと感じた。
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