霧の奥に何かがみえる
1980年のジョン・カーペンター監督の作品。私が初めて見たのは地方テレビでロクに電波も届かなく夜のシーンはほとんど何も観えないという悪条件の中で観た。もちろんホラー映画なのでほとんど何も観えない状態。それでも音楽、海から聞こえるという謎の船の音、足音、誰もいないはずのガソリンスタンドに響き渡るクラクション。島の誕生100年目、何かの目覚め。午前0時から1時までの怪奇現象とともに流れる灯台から流れるラジオ。色っぽい声の女性と音楽がなんとも合っている。
灯台での色っぽいDJも仕事が深夜のせいか朝はつらいようだ。彼女の寝起きまでの家の写真立てで今までの彼女の生き方がみられるのが面白い演出だと思う。のちに語られることもないし、この映画に別に必要でもない。
ただわかるのは彼女はこの島の灯台にあるラジオ局を買い、都会からシングルマザーとしていること。
この映画はこれといった主人公がいるわけでもない。女性DJ、彼女と仲のいい気象予報士、漁師、彼の車にヒッチハイクした女性、女性議員、その秘書、そして秘密を一番に知ることになる神父。普段ではすれ違う程度、もしくは挨拶程度の仲かもしれない、しかしたった一日で何かしら出会い、かかわりはじめる。
まだCGがなかった頃の作品だが、霧がまるで生きているかのように迫ってくるのはゾッとする。光りつつ迫ってくるその霧の中には想像もつかない何かがいる。霧なのでどこにでも、どんな隙間にも入ってくる。それも音を立てずに。
ジョン・カーペンターの多くの作品の終わり方は余韻ある終わり方だ。この作品も一旦これで終わりか・・と安心させつつ、観ている人になぞかけをし、そして息もつかせない間に衝撃のエンディングにもっていく。
音楽もジョン・カーペンターだが、やはり作品をよくわかっている彼しか生み出せないテーマソングだと思う。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)