英雄の辛さ
この映画を観て、戦争で苦しんだのは日本だけではなかったのだなということだ。
この映画では、第二次世界大戦中の戦いから、戦後、英雄として帰還した主人公達がどういった感情で生きてきたか、を描いているが、なんとも虚しい気持ちになってしまう。
着眼点を戦時中ではなく、主に戦後に置いた設定は珍しいと思った。
主人公は戦時中、衛生兵として従軍した男性だが、未だに苦しんだ兵士達の「衛生兵!」という助けを求める幻聴に悩まされていた。
また、私の一番心に残ったシーンであるが、硫黄島に星条旗を立てた英雄、ということで主人公たちはあるパーティーで星条旗を立てる再現をすることになった。そしてその再現が行われると歓喜するアメリカ国民。主人公の心には死んでいった仲間達の顔が浮かび、「本当の英雄は生き残った僕達ではない」と罪悪感を抱くようになってしまった。
このシーンの虚しさはとても心に残った。そして、戦争では誰も幸せにはなれないと強く感じた。
そして生き残った主人公達の人生は荒み始めてしまう。
主人公は晩年になっても戦争の恐怖や、戦争で失った友を戦慄に思い出してしまう。しかし、晩年になって変わったことは、自分の息子に友との楽しい思い出を話せるようになったことだと思う。
彼は罪悪感、悲しみ、虚しさを死ぬまで背負っていくだろうが、晩年になりようやく自分の人生を正当化し始めることができたのではないだろうか。
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