何も考えてなさそうな主人公が、自分の生き方に悩む物語
まず言いたいことがひとつある。 なんで声優は石田彰が先頭に来ているのか。この物語の主人公は太公望(結城比呂)であり、狂言回しのピエロのようなアイツではない。
それはさておき、主人公太公望は毎日毎日何を考えているのか。同期の普賢はどんどん偉くなっているのに太公望は毎日のらりくらりしてばかり。私は、太公望は何も考えたくなかったんじゃあないかと思う。親や仲間を殺され、誘われるままに道士になった太公望は、自分の目的をずっと見失っていたのではないか。でも死ぬ理由もないからただ毎日、現実逃避をしながら生きている、そんな姿を見ている気がした。 一方物語の初めに、神を封じる役目を与えられた彼は、否が応にも現実に立ち向かわないといけなくなった。仲間を殺され、友人を殺され、自身も殺されかけ、彼はいよいよのらりくらりと生きることが出来なくなった。しかし、周りからは相変わらずのらりくらりと生きているようにしか見えない。任務をこなしながら、責任の重さを感じさせない飄々とした様子は、周りに不安と安心を与えた。映像を見ていると、太公望の軍師としての考えはわかっても、心のうちは全く見えない。人は環境によってどうにも変わってしまう。太公望は変わらなかった。それこそが彼の強さだ、のらりくらりと生きている中に、彼の生き様を見る。
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