小花美穂さんの表現力が好きです。
こどものおもちゃは本当に数え切れないくらい何度も読んだ作品です。
初めて読んだ時はそのストーリーの面白さにページをめくる手が止まらなくなるのですが、読み返していくうちに登場人物から伝わってくる感情、そして一つ一つの言葉に心が打たれ何度も手が止まりました。
登場人物の一人である羽山は口数が少ない男子です。いつも無表情で飄々としている。
ですが、紗南に出会い衝突し合う中で心が変化していった羽山は、同じ喋らないシーンでも感情がしっかり伝わってくるんです。いつも感情が無だった羽山の目に嬉しさや愛しさが表れているのです。
物語の後半、再び心が荒んでしまった羽山が紗南に偶然出会うシーンがあります。そこでの羽山の目だけの3カット。同じ目なのに、冷え切った心が紗南によって満たされていくのがとても伝わってきます。
心の中の言葉として文字にしてしまう作者が多い中、小花美穂さんは絵だけでその感情を伝える描写がとても多いです。
そこがこの作品の大好きなところであり、又きっと今はこの登場人物はこう考えてるんだろうな、、、と物語をさらに楽しませる余白でもあります。
そしてこどものおもちゃは台詞の一つ一つもとても魅力的です。
紗南のセリフに
「私はみんなが思ってるほど強くはない。
だけど、頑張らないわけにはいかない。」というものがあります。
そう、みんな強くないんです。強い人なんていないんです。でもそんな中でみんな一生懸命、少し無理してしまうくらい頑張ってるんだな、と改めて考えさせられました。
そしてこの言葉は私を奮い立たせる言葉になりました。
「頑張らないわけにはいかない、、!」
そんなこどものおもちゃですが、この漫画が小中学生が読むりぼんで連載されていたことが本当に驚きです。
イジメ、家族、恋愛、命、この漫画のテーマは壮大です。
キャッキャした恋愛漫画の中、どれだけの異彩を放っていたのでしょうか、、、。笑
魅力をたくさん書き連ねていたら、また久しぶりに読みたくなってきました。
しばらくこどちゃワールドに浸ってこようと思います・・・♩
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