なぜそうなってしまったのか
朝、目が覚めると、なぜか大きな虫になっていた主人公のグレーゴル・ザムザ。 カフカの小説は、「なぜそうなってしまったのか」という原因がごっそりと抜け落ちているものが多く、 ただそうなってしまった事実だけが歴然と存在し、 その後もそれが当たり前のように進んでいくのが不気味です。 そして両親の借金の返済もあるし、妹と両親が働き始めると、家族3人が生き生きし始めるのも、 グレーゴルの人間だった頃の働きを否定しているような気がしてなりません。 妹のグレーテはそれでも、虫になった兄に食事を運んだり、動きにくかろうと家具をどけたり いろいろ世話はしますが、最後は結局見捨ててしまいます。 流石に虫にはならないでしょうが、現実世界でこういうの、ありえそうな気はします。 今までずっと働いて家族を支えて来てたけど、何かが原因で働けなくなった人とか・・・ そう考えると、切ないと言うか怖いなと思いました。
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