これからはあるくのだの評価
これからはあるくのだの感想
淡々と面白い、さらさら読めるエッセイ集
角田光代の、エッセイ集です。表紙の赤い薄手のワンピースがかわいいなあ、と思って手に取りました。着ているのは著者でしょうか。薄手のワンピースの質感のような、サラサラっと読めるエッセイ集です。すごい面白い、というのは少なくて、淡々と面白い感じかな。「十年後の 〈ケンビシ〉 」というエッセイを読んだ時は、吹き出してしまいました。若い頃の著者は、剣菱という日本酒があるのを知らず、先輩に頼まれたお酒のおつかいを、ワインを1本選び、レジで「これをケンビシにして下さい」と、無理難題を言うのだった…という話なのです。この話が、一番、私のツボに入りました。困ったでしょうね、レジの人。きっと、酒屋さんからも忘れられないお客さんだったに違いありません。著者のひととなりがわかる、読みやすいエッセイだと思いました。