アクロイド殺しのあらすじ・作品解説
「アクロイド殺し」は、アガサ・クリスティによる、エルキュール・ポワロを主人公とするシリーズの長編小説である。 事件からの引退を決意した私立探偵のポワロは、田舎暮らしを満喫している。その村で裕福な未亡人と同じく裕福なアクロイド氏が連続して殺され、二人に再婚の噂があったことや、未亡人が誰かから脅迫されていたということから、アクロイドの義理の息子が容疑者に挙がる。無実を信じる婚約者でアクロイドの姪が、真相究明をポワロに依頼するというあらすじである。 記録者で語り手は、両被害者の主治医のシェパードであり、一連の事件の犯人に当たる。犯人やトリックについて大変な物議を醸し出しており、読者に対して公正か否かという点で問題になっている。 犯人が記録者ということで、殺人と時の描写をぼかしていたり、トリックの蓄音機に関してもわざと決め手を掴ませないような表現で書かれている。読者を故意に欺いたと考えるか、読者の視点を欺く巧妙なトリックと見るか、意見が二分しているのである。
アクロイド殺しの評価
アクロイド殺しの感想
ミステリの新境地
フーダニットの叙述トリックとして、新たな境地を切り開いたかの有名な「アクロイド殺人事件」。ミステリーの女王アガサ・クリスティーの腕前がいかんなく発揮されている。このあとに続いた作品がどの程度あったかはよく知らないが、このトリックはこの作品から始まったのだと思うと感慨深い。序盤の記述にヒントはあるものの、さらりと書かれているので見逃してしまった人は多いのではないかと思う。自分は、既に他の人からネタバレを知らされていた上で読んだのでとても残念だった。アガサ・クリスティはのちに自分の作品の中でのベストテンを挙げていて、この本はランクインしているし、同じトリックを使った(本人だからこそ同じ手が許されているのだと思う)別の本も同じくランクインしている。ぜひ何も前知識を持たずに読んでほしい!