ロクス・ソルスの評価
ロクス・ソルスの感想
奇妙な文章を残した天才作家
この本でまず驚いたのが殆ど始めから豊かな想像力を以て読まないと訳が解らなくなることである。例えば最初に歯医者が患者から抜き取った歯を芸術作品にしようとして飛行船に乗ってあたり一面に色とりどりの歯が並ぶ始末である。この時点で想像力のない人は脱落してしまう。その模様を頭の中で想起するとそれは実に素晴らしい芸術作品だと判る。話逸れるが彼は最期に自殺をした。その時の状況をミシェル・フコーが創造して書いているので少し抜粋しよう。「彼は扉に手を伸ばした。しかし届かない何度も何度も伸ばしている内に次第に意識が薄れてゆく。そして、レーモン・ルセルは生涯を終えたのである。」前にも述べた様にやはり天才の人生は悲劇であると痛感する。