半落ちの感想一覧
横山 秀夫による小説「半落ち」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
モヤモヤ
「半落ち」という言葉を知らないし、この言葉からイメージがあまり湧いてこなかった。つまり、タイトルからは内容がわからなかった。そこに、興味をそそられました。内容は妻を殺した警部の自首から刑務所へ入るまでを、それに関わる人の、それぞれの視点で展開されている作品です。どこか「陰日向に咲く」を思い出させてくれる構成でした。(ボクがこちらを先に読んでいたため)なぞが解けそうなところで、別視点の内容に切り替わるので、モヤモヤ感が持続し、最後まで一気に読み上げました。しかーし、最後はかなりあっさりしてました。少し物足りない感じもしましたが、全体的に見れば面白かったです。
やっぱり泣いてしまう
映画の原作です。これは、映画館で号泣してしまい、胸が苦しくなった作品だったので原作が気になり読みました。妻を嘱託殺人してしまった現役警部が自主するまでの空白の二日間を軸に物語が動きます。半落ちの意味や、臓器移植の青年への想い、息子への想い、手にかけてしまった妻への想いに涙が止まらず、映像で観たものを文章で読み直し、また号泣してしまいました。映画では解ってなかったところまで理解することができました。文章で表現できるものと、映像で表現できるものは違うけど、世界観は同じでした。私は涙なしでは読めませんでした。何とも切なくて切なくて。
人間の描写
現職の警察官が嘱託殺人(アルツハイマーの妻)を犯し、自首をする。その経緯についてはしっかり述べるが、殺害から自首の2日間の行動については硬く口を閉ざす。警察・検事・裁判官・記者それぞれの視点から、真実が明らかになっていく。人間の心の動きについての描写が丁寧で引き込まれる。殺人を犯した男は、そう多くのことは語らない。にもかかわらず、彼の心が痛いほど伝わってくる。読み進むにつれて、彼には確固たる信念があるのだという期待も出てくる。罪を犯した者に同情するつもりはないが、それでも、殺人を犯すだけの「理由」に期待してしまう。最後に、黙秘の理由が明らかになる。泣けた。
ミステリーというよりは・・・
テレビや映画作品にもなった半落ち。有名な作品ですよね。 アルツハイマーである妻を殺害し、自首した夫の物語。動機や経緯を話すのに、殺害から自首するまでの2日間のことはかたくなに話そうとしない…それはなぜ?ちなみに、「半落ち」とは、警察が使う用語で「一部自供した」ということです。今まで、犯罪の経緯を語る物語は数多くありましたが、自首してからの物語というのは大変新鮮なものでした。しかし、ミステリーを語るには、はっきりいってオチはイマイチです。ですが、この物語に漂う哀愁や人間の心をメインに見ればとても感動できる好きな作品です。実際、この本を読んで泣いてしまいました。