天使たちの進化論の評価
天使たちの進化論についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に漫画を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
天使たちの進化論の感想
90年代以降を代表する、SF少女漫画の嚆矢。
80年代までの少女漫画におけるSFのが山田ミネコ、萩尾望都だとしたら、90年代におけるその存在は清水玲子なのではないかと思います。初期作品からMoonchild、秘密まで一貫して高い水準のSF的世界を舞台として、間断なく作品を紡ぎ続ける、ものすごい人だと思うのです。初期の代表作ともいえる「ジャック&エレナ」シリーズの登場人物による読み切り作品が収録された本作も、短いながらもぐっとひきしめられた物語ばかりで、清水玲子の真骨頂ここにあり、と感じます。表題作「天使たちの進化論」では、セクサロイドという存在のエレナとオランウータン、人間の溝を題材としながら、生命とは何か、という命題を読みやすく提示しています。小品ながら「千の夜」はエレナの側面をとても端的に表現した良作と思います。