思いがけなくも切ないホラー小説
奥田英朗を通して知った山田太一山田太一といえば、たくさんのドラマの脚本を手がけている脚本家だ。彼が手がけた「ふぞろいの林檎たち」なら私でも知っている。しかし私が山田太一の本を読もうと思ったのは、脚本家として有名だったからではなく、奥田英朗のエッセイでたびたびその名前が出てくるからだ。作家なのに読書量の少なさを誇る奥田英朗だったけれど(なにかのエッセイでそう語っていたのを覚えている)、それでも山田太一だけは好きな作家だと語っていた。私自身、奥田英朗のあることだけを書いてなにも含みを持たせない正直な文章と小説が好きなので、そんな彼が好きな山田太一の小説とはどんなものなのだろうと思ったのだ。新しい作家にはこういう出会い方もある。村上春樹を読んでトルーマン・カポーティを読んだり、「グレートギャツビィ」を読んだりもした。そしてそういう出会いが良ければ良いほど、村上春樹なり奥田英朗なりへの小説を読...この感想を読む
3.03.0
PICKUP