期待っていうのは、諦めから出る言葉なんだ。
福部里志
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クドリャフカの順番は米澤穂信による推理小説である。この作品は古典部シリーズの第3作目であり、2015年6月時点では第5作目まで発売されている。 この小説は、古典部の部員である折木奉太郎が、高校内で起こる様々な不思議な事件を解決するという話である。この折木奉太郎は名探偵と言えるのだが、本人は「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。」というモットーを持っている。そのため本人は事件に関わる気は無いのだが、古典部の部長であり友人の千反田えるの好奇心に負けていろいろな事件に関わることになる。その度に見せる奉太郎の鋭さに古典部の部員たちは大いに驚くことになる。また、奉太郎の友人の里志と摩耶花や、奉太郎と千反田えるの恋の行方も気になる作品である。今回のこの作品は、奉太郎の通う神山高校で行われる文化祭に登場する奇妙な盗難、十文字を名乗る怪盗に古典部と奉太郎が関わるという話である。
古典部シリーズ第3弾です。今回は神山高校の文化祭「カンヤ祭」が舞台です。いつものメンバー、折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花がそれぞれの役割で、謎が解明されていきます。4人それぞれが活躍するので、うらやましい限りです。仲間になりたい。今回の謎は、文化祭の中の部活の出し物のなかから、おかしなものばかりが盗まれていき、犯人の意図するところは?なぜこんなものが?と最後まで楽しませてくれます。私が気になったのは、漫画研究会の「夕べには骸に」という同人漫画です。ぜひ読みたい!と思わせる漫画という設定なので、気になりました。文化祭ということで、特有のざわめきが聞こえくるようで、読んでいて懐かしい気持ちになりました。読後感はよかったです。
日常の謎でおなじみの米澤穂信〈古典部〉シリーズの3作目です。舞台は文化祭。古典部は文集『氷菓』を売り出しますが、大きなトラブルが発生してしまいます。奮闘する古典部の裏で、文化祭自体でも、ある事件が起きます。物語はこれまでと違い、古典部員4人それぞれの視点から描かれています。今まで奉太郎目線でしかわからなかった他の登場人物の思考が分かって、シリーズを読んできた者にしてみれば、面白いです。そして今回も、シリーズ特有のほろ苦さは健在です。高校生として、さまざまなことにぶつかり、悩む登場人物の姿には、共感を覚えます。個人的には、この巻が一番好きです。
『古典部』 という、昨今中々耳にしない部活動がテーマのシリーズ作品。どこにでも居るような、だけどやっぱり、ちょっとだけクセのあるキャラクター達が織り成す日常の中の、ほんの少しの非日常。それが、物語として起承転結を用い、臨場感たっぷりに書き上げられている。青春時代特有の感情が、このシリーズには溢れている気がする。初見は、私も学生の頃だったけど今読み返してもきっと、あの頃の感情そのままに、読了できるんだろうと思う。分かりそうで分からない、事件のトリック。やっぱりそうなのか!の後に待つ、儚い若者達の想い。決して大きな事件が起きるわけではないけれど、どうしたってこの作品には青くて爽やかな風が吹き続けているから。なんとも言えない独特の空気に、揺さぶられてしまう。
よみがな:いりすふゆみ ニックネーム:女帝 性別:女 国籍:日本 所属:神山高校二年F組 特徴:切れ長な目に相まって冷徹な雰囲気 価値観:自身の目的のためには、他人を利用することもいとわない 特技:人心掌握 リーダーシップ 物語上での目的:千反田に助言するとともに、古典部の文集完売に一役買う 家柄:市内で総...
よみがな:ふくべさとし ニックネーム:似非粋人 性別:男 国籍:日本 所属:神山高校一年D組 性格:飄々としている中に、密かに野心を抱く 特徴:低めの背に、遠くからみたら女性にも見まごう外見。サイクリングが趣味で足は鍛えられている 価値観:冗句は即興に限る。禍根を残せば嘘になる 趣味:サイクリング 手芸 ...
よみがな:たなべじろう 性別:男 国籍:日本 所属:総務委員会委員長 性格:物分りが良く、穏やかで優しい性格 特徴:眼鏡をかけている 物語上での目的:お前はクドリャフカの順番を読んだのか?と陸山に問うこと 友人:陸山宗芳 学校:神山高校 物語での役割:犯人
福部里志
福部は、自身の通う高校の文化祭に怪盗が現れたことを知る。その怪盗を捕まえるために奔走するも、なかなか見つからない。しかし、彼の友人である主人公の折木は物的証拠やことの流れからのみでその怪盗を特定した。 そんな才能のある彼に対し劣等感を抱き、自身の才能のなさを諦め、彼に期待するようになった。
入須冬実
文化祭で文集を売ることになっていた古典部は、発注ミスにより大量の文集を捌くために動くことになる。その中で古典部部長である千反田えるは、文集の売る場所を増やすために実行委員に頼もうと奔走する。しかし彼女は不器用で、人にものを頼むことが苦手である。 そこで家ごと付き合いもある入須に対し、ものの頼み方を享受してもらおうとした。 その際入須は、頼み方の前に、心構えを享受する。
田名辺治郎
奉太郎に告げた言葉。 「絶望的な差」とは自分の「自信喪失」を自覚させられたことで「諦め」が齎されたことであり、そうさせた圧倒的才能を持つ相手には持てる者の義務を果たして欲しいと願うこと、すなわち「期待が生まれる」ということだと思う。 つまり田名辺は陸山 宗芳に答えてもらえなくて失望した。ということを奉太郎に説明している。