猟奇歌の評価
猟奇歌の感想
猟奇的だけど
夢野久作の作品はいくつか読んで、どれも不気味で猟奇的、精神病などなど、物騒な形容詞が付きますが、この人はあくまでも冷静に、この狂気に満ちたものを書いているんだろうなと思います。すごく計算しつくされていて、ワケが分からなくて困ってる読者をあざ笑ってるような感じがあります。この「猟奇歌」もそうで、猟奇的と思われるものを、絶妙なリズムで並べ立ててあるように思います。しかも文体が無駄がなくてとても美しいところがすごい。なので、「猟奇的だなぁ」と思うと同時に、「さすが夢野久作だなぁ」と思わずにいられません。不気味とか気持ち悪いとかそういうマイナスの感情が全く生まれてこない、著者の確固たる美学を感じます。筆で手書きで書かれていたりしたら、もう完璧にはまってしまいそうです。