サラの鍵の評価
サラの鍵の感想
アウシュヴィッツについて近くからも、遠くからも眺めることができる物語
時は第2次世界大戦中。パリに住むユダヤ人の少女サラの物語。当時、すでにパリでもユダヤ人には服に大きな星をつけさせられるようになっていた。ある日の早朝、フランス警察が家に押しかけてくる。フランスの警察だから大丈夫。でも、何かがおかしい。とっさにサラは、幼い弟を納戸の奥の秘密の空間に身を隠させて鍵をかける。「あとでもどってきて出してあげるからね。絶対に」鍵をこっそり隠し持ったまま連行されるサラ。一方、現代のパリ。アメリカ人女性のジュリアの物語。フランス人の夫との間に娘が一人いるジャーナリスト。彼女はある時、ヴェルディブについて特集記事を書くことになる。ヴェルディブ、それは過去にユダヤ人がまず最初に連行された屋内競技場。ユダヤ人だからというだけでどうして酷い扱いをうけるのかと嘆きながらも、弟の身を案じ続ける少女サラ。ジュリアがヴェルディブを深く調べていくうちに明かされていく真実。そして、サラの...この感想を読む
幸せ
タイトルを見る限り、「サラ」の鍵がこの作品の重要キーワードになるだろうと予想していた。その鍵は、本物の鍵のことなのか、それとも、この「鍵」はほかの言葉の言い換えなのか。読む前に少し考えて面白い作品です。内容は、ナチスの占領下のフランスで行われた、ユダヤ人一斉検挙からです。かなり狭い屋内競技場に無理やり押し込められて、次々と死んでいく人々が出てきます。このような劣悪な場所から移動した先はアウシュビッツです。こんな境遇を辛くも生き残ることが出来た人は、果たして幸運だったのか。衝撃的なラストがボクは好きです。しかし、ボクはサラに幸せになってほしかったです。でも面白いです。
とにかく読んで欲しい
1942年パリ。ナチス占領下で、フランス警察によりユダヤ人が一斉検挙される。アメリカ人女性ジャーナリストが、その事件を追う。ジャーナリストの目線・検挙された10歳の少女サラの目線が同時進行するような形で物語が進んでいく。その過程で、忌まわしい歴史と夫の家族の秘密を知ってしまう彼女。心をすり減らしながら真実を追い求めようとする。悲しくて、怖い。目を背けたくなるような現実を知り、涙が止まらなくなった。サラの生きた人生がどうだったのか、ジャーナリストと同じ気持ちになって夢中で読んだ。読み終えた後、しばらくボーーっとしてしまい、数日間別の本が読めなかった。これ以上の事を書くと、なんだか嘘くさくなってしまう気がする。読んでみれば、この感覚をきっと理解してもらえる。是非。