蛇行する川のほとりの評価
蛇行する川のほとりについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
蛇行する川のほとりの感想
蛇行しすぎて氾濫した川のほとりで過ごした夏。
知的でお洒落で、気取らない文章女性の持つ女性に対しての憧れと崇拝と、反動で重く腹に落ちてくる現実と嫉妬と。登場人物たちはその嫉妬に目隠しされることなくきちんと自分の気持ちを呑み込んで、憂鬱になるけれどその激情を爆発させることはない。小さな頃のおぼろげな記憶で、各々が形成した思い出を胸に高校生という年齢に達した登場人物たちは再会を果たすのですが、キラキラしたままの青春では済まされない、美しいものの裏側をまざまざと見せつけられる夏を過ごします。女の子もいれば、男の子も途中から参加する。普通なら日常ではない密度の濃い毎日に体力が許す限り時間の隅から隅までを浮き足立った弾む気持ちで過ごすのだろうけれど、恩田陸先生はそれをしない。普通の青春恋愛小説にはしない。ほんの少しの鋭さがかえってとても目立つ、警戒心を生み出す、本当にささやかに徐々に鋭さを増していく話の展開に私は隙間時間が出来れば1分でも作品...この感想を読む