インシテミルの感想一覧
米澤 穂信による小説「インシテミル」についての感想が6件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
お手軽ミステリ
映画化もしました米澤穂信氏の作品です。私は映画化される前にこの本を手にとっていたのですが、まあある意味では映画化はされやすいような設定ではあるのかなと思っていました。ミステリではよくある館系密室での連続殺人。そこで主人公が探偵のように立ち回りながら物語は真相へと迫っていきます。ミステリーに必要不可欠な緊迫感や登場人物の立体感は映画化されるだけあってなかなか良いものだったと思いますし謎解きはミステリとして質の高いものとなっています。しかしやっぱり読んでいて、んん…?となってしまう様な場面もあります。少しネタバレになりますが、作者はミステリの「真犯人はいつでも一人!」といったものを覆して意外性を取ろうとしたのでしょう。そこで無理が生まれ、読者と作者で温度差が生まれてしまうこともあってしまうような作品になってしまったようです。
バランスのとれた傑作ミステリ
自分にとっての、米澤穂信デビュー作品。前評判から、もっと訳の分からない恐怖を感じさせられるようなこわい作品なのかと思っていた。そんなことはなく、でも引き込まれて一気に読了。面白かった!一人ひとりの登場人物の性格描写がかなりしっかりなされているところに好感。主人公もいいし、ヒロイン役の女性もいい。実験の仕組みも納得のいくものだったし、トリックも動機も面白いな、と思った。ミステリファンにはちょっと美味しい仕掛けもちょこちょこあるし。いろいろと納得できるお話だったなー。いろいろと物議を醸しているようだが、「インシテミル」というタイトルがまたそそるものがあるよなぁ、と思ったり。
映画より小説!
映画にもなったこの作品。どうもあちらの出来が良くなかったので、嫌厭されがちですが、小説版はしっかりとしていて、期待に応えてくれるような作品です。ミステリーの小ネタのようなものも散りばめられており、ミステリー好きな人はもちろん、ちょっとハラハラした物語を読みたい、という人にもお勧めです。常にドキドキしっぱなしで、最後まで一気に読めてしまいました。特にラストへ向けての盛り上がり方がとても良くて、いったいどうなってしまうのだろう!?と、先へ先へと気になって読み進めてしまいます。映画だけを観て気に入らなかった人も、原作のこの小説を読めば、印象が変わると思います。
よくあるデスゲーム作品
高額時給目当ての人体実験の被験者として集められた12人の男女が殺し合い犯人を当てるゲーム…というもの。こういう設定の小説は多くありますので既視感がすごかったです。特に設定の深さがあるわけでもなく、心理描写が素晴らしいわけでもない。まあ、高額賞金がもらえるゲームっていう時点で設定自体がすごいので、細かいことは必要無いのかもしれませんが、この結末はガッカリです。ただ、私が期待していたものと違っていたというだけですので、人によっては満足でしょう。前半はそこそこ楽しく読めていただけに残念ですね。ただ、こういった小説にある読みやすさはバッチリですので、すぐ読めてしまいます。
よくある設定の本格ミステリ
米澤さんが書く、ミステリらしいミステリです。高額バイトの募集を見ていくと、殺し合いのゲームのようなものが始まる、という荒唐無稽な設定ですが、その設定の中でもきちんと予想を裏切るような展開、米澤さんには珍しいハラハラドキドキとする展開がてんこ盛りでした。個人的には結構満足でしたが、やはり少し設定のずさんさがあったように思います。まぁ、でもこういうのもたまにはいいかなと思いますけど。主人公がフリーターでお金を求めているというのも、なんだかよくあるマンガみたいな感じでした、良くも悪くも、です。こんなのもかけるんだ、と少し驚いた作品でした。映画化もしていますが、そちらは結構評判が悪いらしいです・・・本で読むとそこまでひどくないような気がしますが。
映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』の原作小説
映画自体は見ていないのですが、映画化にあたって再読してみました。高額時給につられて、ある実験の被験者のアルバイトに応募した12人の老若男女だったが、その実験とは、お互いを殺しあう殺人ゲームで…というお話です。密室でのサバイバルものです。ときどき、こういう緊迫感のある物語が読みたくなりますね。最初は、どのような展開になるのか、ドキドキしながら見守っていたのですが、オチがあっけなさすぎて、肩透かしを食らった気分になりました。そういう展開もアリだとは思うけれど、面白い題材だけに、もっと違う結末はなかったのかなぁと少し残念な気持ちになりました。