一人の個性豊かな女性の人生と、彼女を愛さなかった娘の物語
気になりつつもなかなか手が出せなかった本佐野洋子が自身の母親について赤裸々に書いたこの「シズコさん」は、気になりつつもなかなか実際に手に取って読み始められなかった本だ。この本を最初に認識したのは、新聞か雑誌で紹介されていたものを見たときだったが、その紹介文は確か、4歳のときに著者が母親と手をつなごうとしたら振り払われ、それ以降著者と母親の間に確執が生まれ、その母親が亡くなる前にようやく親子がわかりあうことができた、といった内容だった。その時、すでに子どもがいた私は怖い、と思った。似たようなことを自分もやったことがあるのではないかと思ったのだ。手を振り払ったことはないにせよ、晩ご飯の支度で忙しいときに子どもにだっこと言われ、だっこしてやらなかったことはあった。他にも自分が忘れていることで、子どもの心に傷を負わせたことがあったのではないか。著者は私よりだいぶ年齢的には上であったが、私は母を嫌...この感想を読む
4.54.5
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