人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんで決めなくてはならないからだよ。
マイスター・ホラ
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子どものころの豊かな想像の世界に舞い戻ることのできる、宝物のような物語 久しぶりにこの本を読んだ。初めて読んだのは、小学生の高学年の時だったと思う。誰が買ったのか今となってはもう思い出せないが、この本は自宅にあった。 その頃の私にとって、本を読むのは最高の娯楽だった。だが、貪るように読んだ本の中でも、内容が頭に残っている本は少ない。『モモ』は、私が忘却の彼方に追いやらなかった何冊かのうちの一冊だ。自宅にあった本なので何度も読んだというのもあるが、初めて読んだときから私はこの本のとりこになった。 数ある児童書の中でも、これほど色鮮やかで豊かな想像の世界へ連れて行ってくれた本はなかった。マイスター・ホラがモモに見せた時間の花の美しさ、ベッポとジジとモモの年齢や性別の垣根を超えた友情。何も持たない小さな女の子・モモが友人たちを取り戻すために、灰色の男たちに戦いを挑む、その勇気。色褪せない素敵...この感想を読む
スルメのように、噛めば噛むほど小学生向けの、児童文学です。今で言う、ハリーポッターのシリーズのような冒険ファンタジーなのですが、年齢を経て読むと、物語の見える姿が違ってくる、深い命題を問いかける本でもあります。小学生のときには、ストーリーの面白さと、世界の不思議さと、灰色の男達との攻防劇に息を呑んでページをめくることでしょう。そしてまた、中学、高校生になって読み返すと、「灰色の男達」が、現実において何を象徴しているか、考えられるようになっています。何故なら、現実においても、塾や習い事に明け暮れ、多忙を極める学生達が、クラスにもたくさん出てくるからです。忙しく、疲れた顔をして、なんとなく日々を過ごし、良い大学に入れるようになんとなく目指している私たち。「それで良いの?」と内側から問いかけられていることに、気づくことでしょう。そして、大人になり、子供を育てるようになってから読むと、英語を習...この感想を読む
マイスター・ホラ
モモとマイスター・ホラの時間に関する問答。