きのうの世界のあらすじ・作品解説
「きのうの世界」は恩田陸による長編小説である。本作は、2005年4月~2006年11月にかけて、『東奥日報』『信濃毎日新聞』『山形新聞』『岩手日日新聞』『日高新報』『茨城新聞』『神奈川新聞』『山陽新聞』『十勝毎日新聞』『宮崎日日新聞』『山陰中央新報』『福島民友新聞』『愛媛新聞』『岐阜新聞』『徳島新聞』に順次全316回連載されたものに加筆し、2008年に講談社から単行本化された。 この小説は、塔と水路が特徴的な町で、東京での会社の飲み会の最中に失踪したとされたサラリーマン・市川吾郎の遺体が発見されたことをきっかけに、市川吾郎失踪と死の謎を解き明かそうと、町を訪れた楡田栄子が、町の人々に聞き取り調査を行う場面から始まり、その後起こる町全体を取り巻く奇妙な言い伝えや伝説にまつわる事件を、ミステリー仕立てに書いたものである。物語全編を通して、語り手の視点・場所は全く異なり、時系列も異なっている。