ある少女にまつわる殺人の告白の評価
ある少女にまつわる殺人の告白の感想
児童相談所の現実
虐待小説にみる虐待の現実本作は第9回「このミステリーがすごい!大賞」優秀賞受賞作です。「このミス」は2002年から始まった比較的新しい賞で、「エンターテイメントを第一義の目的とした広義のミステリー」というコンセプトを掲げています。第一回大賞受賞は浅倉卓弥『四日間の奇蹟』、その後も深町秋生『果てしなき渇き』や海堂尊『チーム・バチスタの栄光』など、映画化やドラマ化を果たす人気作を数多く選出してきました。そんな錚々たる顔ぶれに名を連ねたのが、佐藤青南『ある少女にまつわる殺人の告白』なのです。児童相談所が虐待に立ち向かう「わかりました、お話ししましょう・・・亜紀ちゃんについて」。物語は長野県南児童相談所の所長の語りから始まります。亜紀ちゃんという少女が父親に虐待を受けているという事実を得た所長は、「家に帰りたくない」と泣きつく彼女を急ぎ児童相談所に保護しようとします。しかし父親の暴力により亜紀ちゃん...この感想を読む