アリアドネの弾丸のあらすじ・作品解説
海堂尊による人気シリーズ、チームバチスタの第五弾にあたる、長編ミステリー小説。 アリアドネの弾丸はバチスタシリーズでお馴染みの田口医師が、AI(死亡時画像診断)を巡る司法と医療の戦いに翻弄されながらも、AIセンター設立のために尽力していた技術者の謎の死に挑む作品となっている。バチスタシリーズ以外の海堂尊作品、螺鈿迷宮や極北クレイマーとリンクした内容も含まれているため、本作品にはしばしば登場人物の不可解な行動が見られる。 海堂尊作品らしく、コミカルで痛快な展開の中に、医療現場と殺人トリック、医療問題が密接に絡んでおり、何故AIが日本の医療現場に普及しないのか、何故司法はAIを否定するのかなどが読者にもわかりやすく解説され、リアルな医療現場の切実な思いがつづられてもいる。 本作品はフジテレビ系列でチームバチスタ3として2011年7月から放送され、主題歌であるアリアドネの糸をDo AsInfinityが歌い上げた。
アリアドネの弾丸の評価
アリアドネの弾丸の感想
本格ミステリー
ある日、田口は病院長に呼び出される。そこで渡される辞令。なんと田口は新設されるエーアイセンターのセンター長に任命されたのだった。不本意ながら、受けざるを得ない田口。MRIの知識が全くない彼は、導入されることとなった新型MRI「コロンブスエッグ」について、技術者である友野から説明を受けていた。だが直後、その「コロンブスエッグ」の中で友野の遺体が発見された。死因は不明、激務故の過労死とされた。最初に技術者の死、そしてある程度まで読み進めて初めて、この技術者が何者で、田口とどういう関係なのかが分かる構成。前作と違い、本格ミステリーと呼んで差し支えない作品となっている。前作の「イノセント・ゲリラ」の他に、「螺鈿迷宮」のキャラクターも登場するので、その2作を読んでからの方が楽しめる作品だろう。相変わらず2冊に分ける理由が分からない程薄いが、充分な内容だった。この感想を読む