勝手にふるえてろの評価
勝手にふるえてろについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が3件掲載中です。
各項目の評価分布
勝手にふるえてろの感想
射抜くような洞察力。
本命くんとキープ君ようは都合のいいように事を運ぼうとする女性の話だな、と思いました。しかし、そこまで頭の中がお花畑ではないところが妙にリアルで、キープ君からはアプローチを受けていて本命くんの心理ははっきりとわからないという状況でもがいています。嫉妬ももちろん当然の過程のごとくきちんと描かれ、きちっきちっと時間の流れに乗っています。むしろここで劇的な変化をもたらすことも小説の醍醐味ではあるのですが、この作品で綿矢先生は求めませんでした。それこそ「ひらいて」のような刺激に溢れた内容にしなかったのです。そこがまた巧みなんですよね。高校生の恋愛と社会人の恋愛の熱量といいますか、大人の冷静さが可愛げをなくしている描写なんか比較するとぞっとするほど見事です。悲しいかな、大人になると将来というものが現実に成り代わって目の前に迫ってきます。好きだけでは幸せになれない、生活できないことを肌で直に感じてし...この感想を読む