秘密の花園の感想一覧
三浦 しをんによる小説「秘密の花園」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
三浦しをんなのにイマイチ!?
三浦しをんの作品はたいがい好きなんですが、どーもこれはクセがあり、いただけませんでした。文体は江國香織を彷彿させる繊細さは感じるのですが、温かさはまるでありません。ミッション系の女子高生3人の目線で描かれており、それぞれの心の闇などが伝わってきて、花の女子高生なのに暗い。特に那由多が変質者をカッターで傷つけるシーンには、そこまで精神追いつめられているのかと背筋がゾワっとしました。どこも共感できませんでした。作者もミッション系女子校出身なので、自分の経験を投影させてるのかな〜?だとすると、あまり馴染めてなく楽しくなかったんだろうと憶測。私も女子校(仏教系)でしたが、こんなに暗い学生生活でなかったな〜。もっと、おバカで楽しくて充実した高校生活を送っていたので、あまりにもギャップが大きかったです。
こんなお庭が欲しい
不朽の名作ですね。埋められた鍵を見つけるということだけでもなんだかワクワクしますが、なんとこの鍵が秘密の花園の扉の鍵であり、そのなかの荒れた場所を綺麗にして素敵な花園をよみがえらせてしまいます。家の狭い裏庭を掘り返して花を植えたりしていた子供の頃の私は、この花園が羨ましくてたまりませんでした。家に一緒に住むことになった女の子が、その家の病弱な子供を連れ出したり一緒に遊んだりするうちに、その病弱な子がだんだんと元気になり、健康になっていく・・・めでたしめでたし。そう、これはあのアルプスの少女ハイジと同じパターンです!夢があってハッピーエンドなこの物語お子さんにお勧めです。
子どもは子ども同士で成長する!
インドで、両親にはあまり愛されることがなかったものの、ばあやに甘やかされてなんの不自由もなく育っていたメアリーは、両親の死をきっかけに、おじさんに引き取られます。そこは、ヨークシャーの片田舎で、今までの甘やかされた暮らしとは全く違う自立した生活を強いられます。そして、おじさんには両親と同様、無関心な態度を取られます。そんな中で、持ち前の意地っ張りと少しずつ芽生えてきた好奇心で、10年以上閉じられていた秘密の花園を見つけ、それが縁で、地元っ子のディックと出会い、徐々に打ち解けていきます。さらに、病身だと信じて部屋にこもり切っているおじさんの息子のコリンとも出会います。コリンはメアリーに負けず劣らず意地っ張りで、かわいげのない少年です。しかし、この3人が出会ったことで、彼はそれぞれいい影響を与えあい、変化していきます。その変化は、秘密の花園の秘密を明らかにし、そこに隠された悲しい思い出を解...この感想を読む
いきいきとしたヨークシャーの描写
イギリス、ヨークシャー州が舞台の美しいお話。主人公が最初から可愛らしい少女がでないところがまたいい。タイトルはとても有名だけれど、実際に読んだことのある人は意外に少ないのではないだろうかと思う。まわりに何もない片田舎のヨークシャー、長い間閉ざされた花園のある大きなお屋敷で、基本ほったらかし状態で暮らすことになったメアリー、彼女が自然の中でどんどん変化していく様子がまた楽しい。病弱ないとこのコリン、陽気なメイドのマーサ、その弟ディコンなど登場人物もそれぞれ個性的で面白くメアリーの不思議の探索に読者も一緒になって参加する気持ちになると思う。冒険も怪物もでてこないけれど、誰にも愛されることがなくまるで存在価値のなかった少女が幸せになっていく様子が十分にドキドキ感をもって語られている。