老人と海の感想一覧
ヘミングウェイによる小説「老人と海」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
力強く描かれる人生の苦難と勇敢
漁師の老人を通して人生とはいかなるものかを描く主人公である老人・サンチャゴは、年老いた老人である。彼は傷つき年老いた肉体を持ちつつも、眼だけは不屈の生気をみなぎらせていた。人生における老いとは、その速度や度合いに多少の個人差こそあるものの、等しくすべての人間に訪れるものである。つまり本作において彼の老いは、単純な老衰だけでなく不意の事故や困難といった、人生において避けられないものを暗喩している。少年が見た、老人が眠りについた姿に生気が感じられなかったのは、不屈をたたえた瞳が意志なく伏せられており、老いた体が目立っていたからだろう。老人の不屈をたたえた瞳とは、老いが暗喩するあらゆる困難に毅然と立ち向かう精神を象徴している。常に不屈の精神を持っていないと困難に負けそうになる、という老人の、あるいは作者であるヘミングウェイ自身の人生観がここで表現されている。本作のテーマは人生の不条理と、それ...この感想を読む
まるで人生のようです。
漁師サンチャゴがマグロの1本釣りで、4日間マグロと格闘するお話です。簡単に言えばそんな話です。ずっとマグロが釣れず、仲間からもバカにされ、それでもあきらめずに漁に出て、見たこともないほど大きなマグロがかかり、サンチャゴの舟より大きく、力も強いマグロを4日間かけて釣り上げ、たくさんの鮫に襲われ、港に帰るころにはマグロだったもの、残骸だけになってしまっていました。でも傷を負いながらもじっと耐え、成功し、また傷を負い、マグロの一本釣りを通して人生を表しているようでした。よく、我慢した人間が最後に勝つと聞きますsが、まさにこのこれを表しているようだなと思いました。ただ、文章表現が難しかったり、マグロから人生を読み取るだなんて私には難しくて、1度読んだだけでは理解できませんでした。でも、何度か読んでいくとだんだん響いてくるお話なので、ふとした時に読み直すのもいいと思います。この感想を読む
あっとうてき魚
年老いた老人が巨大なカジキマグロを捕獲して港に帰るという物語。老人の力強い動きと魚の生き生きとした生命力を丁寧な描写で書いている。そして老人に懐いている一人の少年作品中はそんなに出てくることはないがこの老人と少年の関係にはどこか美しいものを感じた。誰しもが幼い頃に憧れていた人間というものはいると思う。少年にとって老人は輝いていたに違いない。自分の老いを自覚していても必死に魚に食らいついていく姿は、必見である。老人が無事に大物をモノを持って帰ってきたときは、きっと読者は安心感を得るだろう。もしかしたら読んでいて退屈と思えるところもあるかもしれないが私はお勧めできる一冊だと思っている。
色々と考えさせられます。
若かりし時には栄光を手にしていた漁師サンチャゴ。その彼の生き様が、150ページ足らずに刻み込まれています。生きるためには何かを犠牲にしなくてはいけない。身近にあるもの。私たちが生活をする上で必要なもの。それは全部何かを犠牲にして得ているもの。あたりまえであってはならない。生きるとは何か。考えさせられる作品です。小説としてはとても短い話なのですが、実に深いです。奥が深すぎて、10代ぐらいにこの本を手にして読んだとしてもこの本の素晴らしさを理解するのは難しいはず。社会経験を積み出した20代後半以降の世代にはとても魅力的で考えさせられる話だと思います。