ラヴァーズ・キスのあらすじ・作品解説
ラヴァーズ・キスは吉田秋生によるコミック作品、1995年から1996年にかけて別冊少女コミックにて掲載された。 物語は鎌倉を舞台に、二人の男女を軸にして、その周囲の人間関係から展開される、高校生の青春恋物語である。 些細なことで出会い、最初はお互いに真剣ではなかった二人が、次第に唯一無二の関係へと変化していく。そこから二人に関わる友人、家族から物語は複雑に広がりを見せ、それぞれに小さな切っ掛けから互いに惹かれ合っていく。 青春恋物語と一口に言っても、その中身は思春期の少年少女に特有の不安定さや危うさを含み、軸となる異性愛のみならず、同性愛、家族の対立、家庭や学校における性的問題を複雑に静かに描く。 タイトルにある様に、象徴的に様々な組み合わせでのキスシーンが、想像も含め描かれている。 オムニバス形式で進行し、六編で完結する。それぞれは独立しつつ、過去や今を挟みながら一つの結論をそれぞれの関係において見出していく。
ラヴァーズ・キスの評価
ラヴァーズ・キスの感想
不思議な恋愛オムニバス
吉田秋生氏の恋愛モノというのはとてもドライで好きです。どろどろしそうなところもさらっと終わらせるテクニックは素晴らしいと思います。ちょっとした沈黙でも、そこに明らかな登場人物の意図を感じられるところが本当にすごいです。この作品は主要な登場人物が絡み合っていて、オムニバスというか群像劇というか、不思議な感じがする恋愛マンガです。それぞれのエピソードはそのエピソードの主人公の視点から語られる手法も面白いし、斬新な感じがしますね。それぞれのエピソードが他のエピソードのスピンオフみたいで、色んな楽しみ方ができるので、時々読むと新しい発見があります。それで男の子たちがカッコよくてチャーミングなんだな、みんな。