半神のあらすじ・作品解説
「半神」は、小学館の少女漫画雑誌「プチフラワー」に掲載のあった作品である。作者は萩尾望都で、短編の漫画作品だが、舞台化なども行われた。 ユージーとユーシーは双子の姉妹。結合双生児のふたりは腰のところで繋がっており、さらに栄養分は妹のユーシーにほぼ行き渡り、そのために、生きるにあたって不可欠な身体的な働きを行っている側である姉のユージーは痩せこけている。ユーシーは愛らしい容姿、そして知的には未発達な個性から、周囲の人々に愛されていた。その妹と物理的にも離れられないことから世話全般を行うユージーの、唯一の楽しみが勉強だった。しかし、13歳になったふたりは、医師の診断で分離のための手術を勧められる。その理由はユージーの生命的な負担の大きさであり、そのままの状態が続けばふたりのどちらも息絶える可能性があったためである。分離するということは、ユージーが生き残り、ユーシーは生きられる身体的な能力が乏しいために命が長くはないということ。妹と繋がっている間とその後の、ユージーの葛藤が丁寧に描かれている。
半神の評価
半神の感想
短いけど心に残ります。
この本は短編集なので、表題作の「半神」以外にも色々収録されています。しかし他の作品はイマイチ。評価は「半神」の評価です。結合双生児のユージーとユーシー。姉のユージーはとても頭がよく、ちょっと頭の弱い妹ユーシーの面倒をいつも見なくてはいけません。しかしユーシーはとても可愛らしく天使のようなルックスをしているのに比べて、ユージーは体の栄養を全てユーシーに取られて枝のように細く、髪も抜け落ち始めます。これでは2人とも死んでしまうということで、分離手術になるのですが、分離手術でユージーは生き残り、ユーシーは死んでしまいます。やせこけていた頃の自分と同じ姿で死んでゆく、美しかったユーシーへの想いが最後の数ページにとても印象的に描かれています。