ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日の評価
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日の感想
何か、動物愛護的な内容を想像していたら…
甘い音楽に乗せて語られる、子どもの頃の甘い記憶物語は、カナダ人作家がインド人の男性を尋ねる所から始まります。インドの甘い女性の歌声に乗せて、美しい動物たちのたくさんのショット。命を育むモンスーンに生まれた少年、パイことピシン・モリトール・パテルの生まれてからの人となり。美しい仏領ポンディシェリの風景。リアリストの父親。優しく美しい母親。兄。初めてできた恋人。ポンディシェリが仏領からインドに返還されるという不穏なシーンもありますが、子ども時代はとても幸せだった。そんなパイの想いが伝わってきます。不穏な船出、そして遭難その甘く優しかった恋人とポンディシェリに別れを告げ、パイ一家はカナダに到着した時に売却する為の動物達も貨物に乗せ、カナダへと旅立ちます。そこで起こるあまりに突然な事故。そして愛する人たちとの別れ。大人になったパイは劇中で「生きる事とは手放す事だ」とカナダ人作家に語りますが、本...この感想を読む
うつくしい
虎と漂流と聞くと、どういうことだ?と誰もが思うだろう。私自身もどういったものか分からぬまま、このDVDを手に取った。最初は少年時代の苦い思い出、虎との出会いをドキュメンタリー調に描いている。話を聞くうちに思ったのは、宗教的な事を強く描いている。心に神がいる。何を信じて生きていくのかなどが色濃く描かれた映画であった。一瞬「虎は?」と思う部分が多くあるが、それはよしとしよう。このような事が長く続くなら、見るのはつらいと思っていたが、途中からその光と映像美に惹かれてしまう。私が好きな場面はクラゲの光の中に主人公と虎の乗った船が浮かんでいるシーン。あまりの映像の綺麗さに思わず息を呑む事間違いなしである。
現実離れしているようで果てしなくリアル。
宣伝の段階で映像の美しさに胸打たれました。ファンタジーな内容のドキュメンタリー風の映画を予想していたのですが、実はもっと現実味を帯びた、でもどこか非現実的な一本でした。そもそも本題の虎との漂流の展開までが少し長い。宣伝でわかって多分、ちょっとまだぁ?って気分になりました。そして実際に始まった共同生活は虎と少年との美しき友情というより少年の孤独と死に対する戦いでした。虎はあくまでもその脇役で、少年が自らの孤独を埋めるために無理矢理仲間にしていたような気さえしました。その虎は撮影上では全てCG出できていると信じられないほどの本物の質感を出していました。逆にトビウオの大群や妙ないきものの棲息する島などは非現実的な雰囲気を醸し出していて、この旅のどこからどこまでが本当でどこまでが少年の幻想なのかと疑わせるサスペンス映画であるようにも感じました。少年は虎に愛情を抱き、その見返りを求めました。それは...この感想を読む