現実離れしているようで果てしなくリアル。
宣伝の段階で映像の美しさに胸打たれました。 ファンタジーな内容のドキュメンタリー風の映画を予想していたのですが、実はもっと現実味を帯びた、でもどこか非現実的な一本でした。 そもそも本題の虎との漂流の展開までが少し長い。 宣伝でわかって多分、ちょっとまだぁ?って気分になりました。 そして実際に始まった共同生活は虎と少年との美しき友情というより少年の孤独と死に対する戦いでした。 虎はあくまでもその脇役で、少年が自らの孤独を埋めるために無理矢理仲間にしていたような気さえしました。 その虎は撮影上では全てCG出できていると信じられないほどの本物の質感を出していました。 逆にトビウオの大群や妙ないきものの棲息する島などは非現実的な雰囲気を醸し出していて、この旅のどこからどこまでが本当でどこまでが少年の幻想なのかと疑わせるサスペンス映画であるようにも感じました。 少年は虎に愛情を抱き、その見返りを求めました。 それは人として至極当然なことだったのですが、虎はあっさりとそれをはねのけます。 その冷酷さは自然そのもの。 自然を破壊しておきながらそれを修復して自然と’仲良く’しようとする人の傲慢さを表しているように見えました。
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