アーティストの評価
アーティストの感想
夢見るように美しいサイレント映画
世の中の逆を行くずっと以前、俳優のマイケル・キートンがテレビのインタビューの中で「世の中が景気良く、浮かれ騒いでいる時には、警鐘を鳴らし抑制を促す。逆に世の中がすさみ荒れており、不安や悲しみに満ちている時には、希望や明るさ、美しさを見せ、人々を笑わせ、励まし、勇気づける。それが映像作品の存在意義であり、映画人の役割だと思う」と語っていたことが印象に残っています。本当にその通りで、世の中に迎合したり、できるだけショッキングで話題性があり、お金さえ儲かればいいやという映画が少なからず作られて行くなかで、ぐっと落ち着き、足元をふんばって「世の中の逆を行く」ことを真摯に考えて作られた映画の値打ちというのは本当に大きいものがあると思うのです。この文章を書いている2016年、世界は残念ながらテロの恐怖にさらされ、日本でも急激に少子高齢化が進み、言論統制を含んだ顕著な右傾化があり、経済も芳しくなく、多く...この感想を読む
精巧なトリック満載
アカデミー作品賞に輝いたモノクロ無声映画。ただし音楽と(たまに)SEははいる。アカデミー作品賞を獲得する映画には、完成度の高い娯楽映画とカンヌに出品されるような芸術的でやや難解な作品の両方があるのだが、これは前者といえるだろう。 サイレント映画の花形俳優である主人公が映画業界内で栄枯盛衰を経験する様を描く。俳優たちのジェスチュアや動作が完璧と言っていいくらいに精巧な無声映画 の再現になっていて感嘆した。雰囲気もアメリカのサイレント映画の浮ついた明るさがよく出ている。しかし徐々に明らかになるのだが、この映画は単なる「古典回帰」ではなく、サイレントという制約の中でその制 約自体をメタ的にもてあそぶことでトリッキーな遊戯性を実現している。多分ストーリーの大枠はむしろ「常道」的なこの映画が作品賞を得たのは、この技術的な創意が 新鮮だったからだと思う。
サイレント映画
CG全盛の現代で、あえて撮られたサイレント映画です。映画の内容はサイレント映画が廃れ、トーキー映画に変わっていく時期に、サイレント映画俳優として名を馳せた男の没落と恋を描いた作品。サイレント映画は好きだし、今の世の中でサイレント映画を撮るというチャレンジ精神は素晴らしいと思います。アカデミー賞も7部門受賞して、台詞がなくても、モノクロでもいいものはいいと認められた感はあります。ただ本当に古いサイレント映画、チャップリンのユナイテッド・アーティスツ以前の映画のようなごつごつしたモノクロサイレント映画ファンとしてはあまりにもきれいすぎた気はします。犬の名演には心打たれました、あれは歴史に残ります。
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