幕末太陽傳のあらすじ・作品解説
幕末太陽傳は、川島雄三監督が田中啓一・今村昌平と共に脚本を担当した1957年7月14日に公開された映画である。製作:山本武、ナレーター:加藤武が担当している。2012年日活創立100周年記念事業の一環として最新デジタル技術により映像修復を施した「デジタル修復版」が公開された。修復には本作で録音を担当していた、橋本文雄が、録音・修復監修としても参加しており、2011年には世界各国で巡回上映も実施した。 舞台は、幕末文久2年。品川にある遊郭で大騒ぎをしていた、佐平次であったが一文の金も持ち合わせていなかった。そのため遊んだ金額分を居残りで働くことになるが、訪れる客であった高杉晋作らとも交友関係を持ち、騒動を次々と収束させていく…。次第に佐平次は体調を悪くしていくのだが、それでも働き続けると豪語し日々を過ごしていく…。 居残り佐平次役:フランキー堺、女郎こはる役:南田洋子、女郎おそめ役:左幸子、高杉晋作役:石原裕次郎がキャスティングされた。
幕末太陽傳の評価
幕末太陽傳の感想
古典落語が元ネタの青春時代劇
幕末の品川遊郭を中心に、古典落語の「居残り佐平次」・「品川心中」・「柴浜の革財布」などをモチーフに描かれている、普通とは違った市民感覚あふれる時代劇になっています。フランキー堺が演じる主人公の居残り佐平次は、ニヒルでパイタリティにあふれ、生きるということに必死な人物。そんな姿は、今の我々の世界にも共通するところでしょう。キャストも石原裕次郎をはじめ小林旭や南田洋子、二谷英明など当時の日活映画のオールスターの共演も見どころの一つになっています。映像・音楽・脚本、どれをとっても一級品の味わいが感じられるドラマです。フランキー堺が、画面の中で調子良く演じきる姿は、コメディアンながらまさにハマリ役。監督 川島雄三 傑作の一本です。
江戸末期の遊郭を舞台にした傑作
今なおカルト的人気を誇る日本映画の傑作。品川宿の遊郭で支払いが出来ずにそのまま「居残り」となったフランキー堺。ありとあらゆるトラブルを解決する大活躍しつつ、しまいには攘夷志士とも渡り合う。高杉晋作役に石原裕次郎が出演しています。三味線で「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」と謳うのはなかなのもの。何よりもこの映画のすごいところはテンポ良く、落語などのネタを随所にちりばめつつ、飽きさせること無く物語がひろがっていく所にあります。落語の素養がある人が見れば、さらに楽しめる一本となっているでしょう。単なる喜劇として終わるのでは無く、肺を患いながらも最後まで力強く時代を駆け抜こうとする主人公には、見終わった後に勇気づけられるモノを感じる人も多いのではないのでしょう。
日本人のバイタリティ「幕末太陽傳」
幕末太陽傳小生、落語が好きで、特に熟年になってから古典落語にのめりこみ、今ではネタが200も超える程、ITを駆使してダウンロードしながら聴いています。この「幕末太陽傳」は、これら古典落語を主題として落語のネタを何通りかを組み合わせて製作しているのです。 落語好きな小生が興味を示さずには居られません。出し物の古典落語は「居残り佐平次」、「品川心中」、「芝浜」といった名作で、居残り・・は志ん朝、品川心中は円生、芝浜は談志、などが演じていてとても気に入っています。物語は江戸末期、当時吉原に次ぐ旧東海道でも一番といわれた品川の遊郭で繰り広げられる時代劇のドタバタコメディですが、その主役が「居残り佐平次」の佐平次役でのフランキー堺である。 元、ドラマーだった彼が映画・「私は貝になりたい」以降、名役者として一段と磨きがかかった役ぶりが驚きである。兎に角この映画は人間が“泥”になって懸命に生きてゆく姿が、...この感想を読む