ユーモア、おかしみ、軽妙さを犠牲にして自分の魂のまだ見ぬ故郷としてアメリカの原風景を描き出した「デッドマン」
ジム・ジャームッシュ監督は常に動いているなと感じさせてくれる監督だ。やっぱり一か所にとどまっているような人ではないと思います。「ナイト・オン・ザ・プラネット」から3年後に撮ったこの「デッドマン」を観て、あらためて私はそのような気持ち強くしました。この「デッドマン」は、それまでのジム・ジャームッシュ監督の映画とはだいぶ違う感触を持った映画だと思います。具体的には時代設定が大きく違っていて、百数十年以上昔の「時代劇」であり、「西部劇」なのです。これは、ジャームッシュの映画としては初めてのことだ。私はジャームッシュ映画の、それまでの誰も描き出せなかったようなタイプの、明るい孤独感がその底に流れているようなユーモアがとても好きだったのだが、それも何作か続くと、何と言うか「ジャームッシュがジャームッシュ調でまとめてみました」というような予定調和に陥っているような感じがしていました。しかし、この「...この感想を読む
4.04.0
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