幼い少女が精霊の存在を信じ、孤独な世界に踏み込みながら大人の世界を見つめる姿を神秘的に描いた「ミツバチのささやき」
このビクトル・エリセ監督が初めて撮った長編劇映画の「ミツバチのささやき」は、1940年頃のカスティーリャ地方にある小さな村を舞台に、幼いひとりの少女が精霊の存在を信じて、孤独な世界に踏み込みながら大人の世界を見つめる姿を、その日常のさりげないディテールを通して描いた珠玉の作品だ。幼い少女アナは、両親と少し年上の姉イザベルと一緒に大きな古い家に住んでいる。父親のフェルナンドは養蜂家で、とっつきにくい感じだ。母親のテレサはかつての恋人に届くかどうかもわからない手紙を書いている。そして、この一家の周囲にはスペイン内戦の影が色濃く漂い、そんな時代と環境の中で、アナは映画「フランケンシュタイン」を観たことから、精霊の存在を信じ、精霊との交感をこころみるのだった-------。この映画は、幼い少女アナの大人になるための、一種の通過儀礼の物語だと言えると思います。同じ小学校に通っていてもイサベルはやはり姉。アナ...この感想を読む
4.54.5
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