厳しい美しさとおかしみの漂う人間ドラマの秀作「摩天楼を夢みて」
この映画「摩天楼を夢みて」は、デヴィッド・マメットのピューリッツァー賞受賞の戯曲「グレンギャリー・グレン・ロス」をジェームズ・フォーリー監督が名だたる名優、演技派俳優を揃えて映画化した作品だ。舞台はニューヨークには違いないが、邦題のあまりにもひどい「摩天楼を夢みて」というような、華やかさだの浮かれた感じといったものは全然なくて、詐欺すれすれのきわどい商売をしている、不動産会社のセールスマンたちの話である。 六人の不動産会社の社員と一人の客----登場人物はほとんどこれだけ。場所も不動産会社のオフィスと向かいのバーくらいのものである。人物も空間も小さく限定しているところ、たくさんのセリフのぶつけ合いで進行していくところなど、かなり演劇的な構成になっていて、映画を観ているというより、あたかもブロードウェイの緊迫した舞台劇を観ているような気分になってしまうほどだ。 この映画は、とにかく、厳しい美し...この感想を読む
5.05.0
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