物語に終わりは 必ずくるけれど それでも君となら 「永遠」を信じてみたくなる
水瀬杏
理解が深まる漫画レビューサイト
漫画レビュー数 3,136件
独特の作品感。この作品は大好きで、これまで何度も読み返していますが、このレビューを書くにあたって改めて全巻読み直しました。私はもうすぐアラフィフの主婦で、小さい頃から漫画が大好きなのですが、アラフォーの頃から、もう若い世代の漫画家さんの漫画は読む事が無いだろな・・・と思っていた矢先に出会った漫画で、また年齢や世代ギャップの違和感無く、すんなりのめり込めた作品です。作者の芦原妃名子先生の作品はこの「砂時計」しか読んだ事が無いのですが、独特の作品感のある漫画を描かれている漫画家さんなのだな・・・というのはこの一作を読んでもよく分かります。物語はとても暗くて、とても深い人間の心の傷やトラウマや痛みが描かれているのですが、時折ギャグっぽいシーンが入る事によって、昼ドラ的なドロドロも、読んでるこちらも悲しくなるようなそれぞれの登場人物の痛みも充分に伝わってくる反面、くすっと笑う事で痛みがやんわり...この感想を読む
両親の離婚を機に母の故郷へと引っ越してきた主人公、杏は慣れない環境の中で大吾と出会います。田舎で暮らすことにも田舎の人たちの距離感にも慣れないのは杏も母親も一緒だったと思います。杏の母親はとても美人で小さな田舎ではちょっとした有名人でしたが、そんな対応が彼女はずっと苦手だったみたいです。運命の男性に出会って上京する夢が叶った女性が嫌いな故郷へ、しかも離婚して帰って来るなんて恥ずかしさも悔しさもあったと思います。もとから繊細だったこともありますが精神的に不安定になった母は自分の人生の重荷に耐えられず自ら命を絶ってしまい、これは漫画のストーリーの中で一番大切な事件となります。この事件がなく母親が生きていれば杏は何事もなく大吾との愛を育み、幸せに暮らしていたと思います。母親が死んでしまい、まだ小さい杏は一人きりになってしまいました。これからどうしていいかもわからないとき、大吾はずっと一緒にい...この感想を読む
この作品は一貫して、母親が自殺したのを「理解できない」という感じで描かれている。どの登場人物も、「母親も辛かったんだろう」なんて同情している空気がまったくないのが、少し不自然だ。旦那は借金して離婚、悪い噂をすぐ流される田舎で、働きすぎて倒れても小言を言われ…母親の状況を考えれば、ナイーブな人なら自殺するのも仕方ないのではと思う。当時12歳の子供の立場になってみれば、わからないのも無理はないが…おばあちゃんや近所の大人も含め、結局は「弱いのが悪い。子供を置いていくなんて」と、残された側の言い分ばかりで母親が可哀想になってくる。最終章でようやく、置いていかれたのは「あれはお母さんの優しさだった」と言った主人公に私も少し救われた気分になった。主人公は10年以上かけて母親の死を乗り越えたわけだが、他のおばあちゃんや父親は立ち直りが早すぎやしないか?とも思う。母親を弱らせた原因を作った父親や、とどめ...この感想を読む
よみがな:みなせ あん
水瀬杏
過去にトラウマを抱えた主人公の、互いに想い合う幼なじみに対する気持ちが溢れ出たシーン。
北村大悟
杏の母が自殺し、支えの母親を失った悲しみと怒りで大事にしていた砂時計を杏が壊した際、同じものを大悟が買ってきてて渡した際の言葉
月島藤
ずっと好きで好きで仕方なかった恋人を思って別れを決めた主人公に、ひそかに思いを寄せていた仲間だと思っていた幼馴染からの告白の言葉