母親は安らかに眠りにつけたのだろうか
この作品は一貫して、母親が自殺したのを「理解できない」という感じで描かれている。
どの登場人物も、「母親も辛かったんだろう」なんて同情している空気がまったくないのが、少し不自然だ。
旦那は借金して離婚、悪い噂をすぐ流される田舎で、働きすぎて倒れても小言を言われ…母親の状況を考えれば、ナイーブな人なら自殺するのも仕方ないのではと思う。
当時12歳の子供の立場になってみれば、わからないのも無理はないが…
おばあちゃんや近所の大人も含め、結局は「弱いのが悪い。子供を置いていくなんて」と、残された側の言い分ばかりで母親が可哀想になってくる。
最終章でようやく、置いていかれたのは「あれはお母さんの優しさだった」と言った主人公に私も少し救われた気分になった。
主人公は10年以上かけて母親の死を乗り越えたわけだが、他のおばあちゃんや父親は立ち直りが早すぎやしないか?とも思う。
母親を弱らせた原因を作った父親や、とどめをさしたおばあちゃんこそ、もっと悔やむべきではないのか。
死んで数年でデキ婚してる場合じゃないだろとつっこみたくなる。
少女漫画というくくりではどうしても主人公の恋愛に片寄った目線になってしまうのは仕方ないが、ものすごく思い悩んで引きずっている主人公に対して周りはあっさりしすぎ!
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)