母親は安らかに眠りにつけたのだろうか - 砂時計の感想

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漫画レビュー数 3,136件

砂時計

4.334.33
画力
4.33
ストーリー
4.50
キャラクター
4.33
設定
3.83
演出
3.67
感想数
3
読んだ人
6

母親は安らかに眠りにつけたのだろうか

3.03.0
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
3.0
設定
2.5
演出
2.5

この作品は一貫して、母親が自殺したのを「理解できない」という感じで描かれている。

どの登場人物も、「母親も辛かったんだろう」なんて同情している空気がまったくないのが、少し不自然だ。

旦那は借金して離婚、悪い噂をすぐ流される田舎で、働きすぎて倒れても小言を言われ…母親の状況を考えれば、ナイーブな人なら自殺するのも仕方ないのではと思う。

当時12歳の子供の立場になってみれば、わからないのも無理はないが…

おばあちゃんや近所の大人も含め、結局は「弱いのが悪い。子供を置いていくなんて」と、残された側の言い分ばかりで母親が可哀想になってくる。

最終章でようやく、置いていかれたのは「あれはお母さんの優しさだった」と言った主人公に私も少し救われた気分になった。

主人公は10年以上かけて母親の死を乗り越えたわけだが、他のおばあちゃんや父親は立ち直りが早すぎやしないか?とも思う。

母親を弱らせた原因を作った父親や、とどめをさしたおばあちゃんこそ、もっと悔やむべきではないのか。

死んで数年でデキ婚してる場合じゃないだろとつっこみたくなる。

少女漫画というくくりではどうしても主人公の恋愛に片寄った目線になってしまうのは仕方ないが、ものすごく思い悩んで引きずっている主人公に対して周りはあっさりしすぎ!


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他のレビュアーの感想・評価

絶望の中の、暖かい心の拠り所を感じる作品。

独特の作品感。この作品は大好きで、これまで何度も読み返していますが、このレビューを書くにあたって改めて全巻読み直しました。私はもうすぐアラフィフの主婦で、小さい頃から漫画が大好きなのですが、アラフォーの頃から、もう若い世代の漫画家さんの漫画は読む事が無いだろな・・・と思っていた矢先に出会った漫画で、また年齢や世代ギャップの違和感無く、すんなりのめり込めた作品です。作者の芦原妃名子先生の作品はこの「砂時計」しか読んだ事が無いのですが、独特の作品感のある漫画を描かれている漫画家さんなのだな・・・というのはこの一作を読んでもよく分かります。物語はとても暗くて、とても深い人間の心の傷やトラウマや痛みが描かれているのですが、時折ギャグっぽいシーンが入る事によって、昼ドラ的なドロドロも、読んでるこちらも悲しくなるようなそれぞれの登場人物の痛みも充分に伝わってくる反面、くすっと笑う事で痛みがやんわり...この感想を読む

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両親の離婚を機に母の故郷へと引っ越してきた主人公、杏は慣れない環境の中で大吾と出会います。田舎で暮らすことにも田舎の人たちの距離感にも慣れないのは杏も母親も一緒だったと思います。杏の母親はとても美人で小さな田舎ではちょっとした有名人でしたが、そんな対応が彼女はずっと苦手だったみたいです。運命の男性に出会って上京する夢が叶った女性が嫌いな故郷へ、しかも離婚して帰って来るなんて恥ずかしさも悔しさもあったと思います。もとから繊細だったこともありますが精神的に不安定になった母は自分の人生の重荷に耐えられず自ら命を絶ってしまい、これは漫画のストーリーの中で一番大切な事件となります。この事件がなく母親が生きていれば杏は何事もなく大吾との愛を育み、幸せに暮らしていたと思います。母親が死んでしまい、まだ小さい杏は一人きりになってしまいました。これからどうしていいかもわからないとき、大吾はずっと一緒にい...この感想を読む

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  • 1073view
  • 2050文字

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