"最低"の主人公。故に魅力的。
ルールの存在しない"喧嘩"をテーマとしつつ、そこに格闘技を本格的に介在させた漫画は決して多くない。板垣恵介の『バキ』、森恒二『ホーリーランド』・・・いわゆる不良モノやファンタジーを除いて考えると数えるほどではないだろうか。そんな中でも木多康昭の『喧嘩商売』は異彩を放っている。何しろ、仮にも主人公である佐藤十兵衛からして、対戦相手の顔に催涙スプレーは撒くわ、目に指は入れるわ、他流派の奥義はパクるわ・・・やりたい放題である。現在連載中の続編に至っては回転ドアに人の指を挟んで遊んでいる。大した悪党ぶりである。ここまでアウトローの主人公を僕は見たことがない。しかし、今巷に溢れているような、お行儀よく肉体をぶつけ合うだけの喧嘩マンガ、それこそ十兵衛に言わせれば「喧嘩がヘタすぎる」のである!初めての、口約束でない文字通り本物の「ルール無用」のマンガに格闘マンガシーンは俄かに沸いた。連載以来、一気に『...この感想を読む
4.54.5
PICKUP