G線上のあなたと私の評価
G線上のあなたと私の感想
好きな気持ちってどうやって次に進むのか
まったくバックグラウンドの違う3人組さすがいくえみ綾さん。登場人物たちのセリフや、流れていく時間がリアルそのもの。迷ってる気持ちって、言葉に表現するのがとても難しいものだと思うが、それをうまくあらわしてくれて、かみ砕いてくれているのがわかりやすい。そして、簡単に次の恋にいけるわけじゃないこと、もう始まっていると自分では気づけないことが、読者からすればもどかしいけれど、妙に共感できてしまう。絶妙な空気がたまらない。バイオリン教室に通っている也映子、理人、幸恵。たまたま同時期に入って、グループレッスンを始めたメンバーだ。彼らはバイオリン以外には共通点を持たない。お互いに敬語で、他人行儀で、とても打ち解けあえるような空気ではなかった。だけど、バイオリンを弾いていると現実世界じゃない場所へ行ける。自分のつまらない毎日が非日常になって、輝きだす。大人のくせに発表会に出ようと決めて、3人で練習して...この感想を読む
本当にリアルに近くてドキドキする
出てくる言葉がリアルそのもの物語の始まりも、流れていく時間も、登場人物一人一人の言葉も、すごく自然なのがいいですね。作者であるいくえみ綾先生の特徴でもあると思うんですけど、「わかるな~…」って言葉を連発したくなります。才能があるでもなく、ただ平凡に過ぎていく毎日。その中でバイオリンを通してつながった人間関係のおかげで、満たされていくものが確かにある。この感覚はすごい共感できる部分です。自分の日常の中の必需品ではない・娯楽や趣味としてのバイオリン教室。大人になってからだからこそ、何か目標があるでもなく、楽しむことが前提となる音楽。非日常になれる時間。非日常だからこそ、正直になれる。いつもは言えないことを言葉にできるから、自分の中でぐちゃぐちゃしているだけのものが整頓されていく感じ。そしてそれをいざという時に発揮するんです。だから音楽とか、趣味とか、自分だけの楽しいだけの時間って大切なんだ...この感想を読む